1997 Fiscal Year Annual Research Report
情報技術が企業の人的資源管理システムに及ぼす影響の日英比較研究
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09730081
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上林 憲雄 神戸大学, 経済学部, 助教授 (00243296)
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Keywords | 情報技術 / 文化 / 組織構造 / ジャパナイゼーション / 職務設計 / 集団主義 / 管理統制 / ナショナル・カルチャー |
Research Abstract |
従来、技術の発展は社会の生産力的基礎をなし、技術は文化の壁を越えた普遍性を有すると主張されてきた。本研究は、この命題を今日の情報技術に適用し、実証的に解明しようと試みたものであるが、その結果明らかとなった最も重要な結論の一つは、技術それ自体は物質主義的な側面を持ちながらも、その技術の利用に関しては文化的差異が作用しうる余地がある、という点である。つまり、日本と英国という文化的に異なった地域において、同一の技術的基礎を持った技術システムが、両国の企業組織において異なった形で利用され、異なった影響を与えうるという点が明らかにされた。具体的には、文化的に強い「不確実性回避志向」を有する日本は、情報技術システムの実際の利用に関しても強い不確実性回避志向でもって設計されており、例えば上意下達式の情報伝達や単純な職務設計が現実に採用されており、「不確実性容認志向」の強い英国では、量的情報より質的情報が重視され、管理者による現場作業員への統制の程度も日本ほど強くない、等の点が明らかにされた。また一般的にはチーム作業方式やグループ・ワークなどといった「集団主義志向」が強いとされている日本の組織においても、こと情報技術システムの利用という点に限っていえば、将来的にはむしろ「個人主義化志向」を目指しており、英国の今日におけるジャパナイゼーションやチーム作業方式への強い関心も考慮すれば、むしろ将来的には情報技術を基礎として部分的には同一の組織構造が形成されうる可能性があることも併せて示唆された。今後の課題の一つは、これらの日英両国から得られた実証結果をもとに、情報技術と組織構造、文化構造の3要因間の相互関係を理論的に深化させるとともに、日本企業が文化的基礎の異なる海外諸国へ進出する際に、具体的にどのような点に留意しなければならないのか、などといった実践的含意をも導入することである。
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Research Products
(1 results)