1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09730088
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森田 雅也 関西大学, 社会学部, 助教授 (40247896)
|
Keywords | チーム作業方式 / 多能工化 / 社会-技術システム論 / 自律性 / 「1チーム1タスク」の原則 / 変動(variance) |
Research Abstract |
本研究は、日英製造業におけるチーム作業方式の実態を理論的、実証的に研究することによって、近年盛んとなってきたチーム作業方式に関する研究への貢献を目指したものである。 まず、研究者の間ではチームの範疇に何を含めるかをはじめとし、言葉の定義などにも共通の理解がまだまだ確立されておらず、それが不必要な混乱を起こさせていることが確認された。それゆえ、チーム作業方式のあり方を比較するための指標の設定に向けて、多能工化に着目しながらチームを「経済性達成」と「自律性獲得」という2軸でとらえることの有効性を主張した。 また、理論的には、チーム作業方式の源流を、英国の社会-技術システム論、米国のQWLを巡る議論、日本の作業組織のあり方を巡る議論のいずれかに求める見解が多い。しかし、社会-技術システム論とQWLを巡る議論は自律性を重視するのに対し、日本の作業組織のあり方を巡る議論ではそれが特に重視されていない点から、結果として「1チーム1タスク」の原則に基づく作業組織を編成しておりながら、そこに至る過程ならびに推進力は異なることを見出した。 英国へ進出した日系企業の作業組織と国内企業の作業組織との比較からは次の点が明らかにされた。多能工化の進展は日英いずれにおいても目指され、そのための訓練も行われている。また、多能工化進展の程度は在英日系企業が劣るわけではない。作業者自身も多能工化を欲しており、そこには日英差はほとんど認められない。日本の場合、たとえ組合がある場合でも、自律性の獲得と作業組織のあり方との関係は認められない。対象とした英国企業の場合も、自律性の獲得が主眼におかれているわけではない。したがって、チーム作業方式が導入され、発展していく過程では、自律性獲得よりも経済合理性の追求がより強い推進力となっており、ここにイデオロギーを越えて各国でチーム作業方式の導入が進んでいる所以が求められる。
|
Research Products
(1 results)