1998 Fiscal Year Annual Research Report
企業統治における外部会計監査人の法的責任のあり方に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
09730097
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松本 祥尚 関西大学, 商学部, 助教授 (30219521)
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Keywords | 保証 / 監査 / レビュー / コンピレーション / 信用監査 / 期待ギャップ |
Research Abstract |
今年度は、利害関係者が会計士の提供する監査等の財務諸表関連サービスに対して、どのような期待を有しているか、を検討した。その結果、利害関係者は、会計士自身も含めて、当該サービスに対して「保証」機能を期待していることが判明する。この場合の「保証」は、会計士業務によって被損した当事者に対する損害賠償、すなわち外部会計士の法的責任(制裁)をも、含んだものとして把えられる。 具体的には以下のとおりである。 (1) アメリカ会計士が従来より提供してきた財務諸表関連サービスの内容は、(1)監査のみならず、(2)レビュー、(3)コンピレーションという3つに区分された。 (2) 上記3つのサービスが抱える問題点として、利害関係者がもつそれぞれのサービスに対する「保証」水準の期待に、混乱が生じえることがある。このため、その混乱を防止するために、予めエンゲージメント・レターや報告書のなかで業務内容に関する記述を、AICPA基準書として制度化される必要があった。 いずれの業務も、財務諸表を客体として、会計士が提供する「保証」サービスであるという点で、3つの財務諸表関連業務(監査・レビュー・コンピレーション)は同質である。しかし、その水準には、対象となる会計情報と適用される手続量によって、多層性が認められるはずである。その多層性について、20世紀初頭のアメリカにおける信用監査を採り挙げることで、企業経営者・銀行・会計士のインセンティブ分析(資金調達コスト対信用供与コスト対報酬)を通じて理論的に検証した。
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