1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09730100
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小津 稚加子 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教授 (30214167)
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Keywords | 国際移転 / 会計制度 / 調和化 / 直接投資 / 植民地 |
Research Abstract |
本研究の目的は、会計技術・制度の移転のダイナミクスをどのように説明するかである。平成9年度は、会計技術・制度の伝播について視座を明確にすることを目的として、4つの考え方(空白理論、直接投資理論、植民地理論、バンドワゴン効果理論)を取り上げて先行研究の検討をした。 研究成果は以下の通りである。 (1)会計制度の発展史における「空白」という状態、経済的な関係で説明しようとする「直接投資」、過去の歴史的事実に着目した「植民地」関係は、受入国の会計制度にもたらされた変化の理由であり、静態的な状況を説明するものの、時間の概念を欠いている。伝統的な国際会計が地理的な分類に依存するのとは異なる視座からの分類であって、「会計制度の受容」と「将来の発展や変更」について満足に解答を与えない。 (2)そこで、上の4つを発展の局面を示すものと捉え、会計制度の国際移転の軌跡を示すマトリックスを考えてみた。それによれば、会計制度の発展は、空白から直接投資または空白から植民地の局面をたどるが、近年観察される会計制度の国際的調和はバンドワゴン効果の局面であることが理解できる。 (3)バンドワゴン効果では、地域統合が背景にあり、したがって、会計制度の国際協調の段階にある。ゆえに、この局面は会計制度の国際移転を超えて調和化に向けた段階であり、制度の移転主体(受入主体)ではなく、先導者か追随者になるかである。
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