1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
島田 伊知朗 北海道大学, 大学院理学研究科, 助教授 (10235616)
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Keywords | 代数多様体 / 基本群 / グラスマン多様体 / ザリスキ / チャウ形式 |
Research Abstract |
代数多様体の位相的な基本群に関する古典的なザリスキの超平面切断定理を様々な状況においても使えるよう一般化を試みた.射影空間の超曲面の補集合の基本群については,超平面で切断するかわりに,任意の非特異代数多様体からの射る(ただし像の次元が2次元以上)による引き戻しを考えても同じ結論が得られることを示した.しかるに射影空間をグラスマン多様体に置き換えると,単純な一般化に対しては反例が存在する.この反例が起こる機構を詳細に調べることにより,ザリスキの超平面切断定理とグラスマン多様体のチャウ形式の間に,予想外の関係があることを突き止めた.すなわち,グラスマン多様体の超曲面及びその特異部分が,余次元2以下の一般化されたチャウ形式を既約成分として含まないならば,ザリスキの超平面切断定理が上に述べた広い意味で成立するという定理を証明した.この証明のために,一般化されたチャウ形式の局所的な特徴づけを行った.さらに,補集合の引き戻しの基本群がもとの基本群とどのような関係になるかということを,群のコホモロジーの言葉で記述した.これらの結果については,論文を執筆中である.また,代数多様体の分岐被覆によって得られる基本群の拡大の構造を群論的に記述し分類する方法を現在探索しているところである.
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