1997 Fiscal Year Annual Research Report
Kazhdan-Lusztig多項式の組合せ論的構造解明
Project/Area Number |
09740024
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
田川 裕之 和歌山大学, 教育学部, 講師 (80283943)
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Keywords | Kazhdan-Lusztig多項式 / Coxeter群 / Bruhat order |
Research Abstract |
Kazhdan-Lusztig多項式(以下K-L多項式と書く)はCoxeter群の2元に対して定義される整数係数の多項式で,1979年にKazhdanとLusztigによって導入された.この多項式は,表現論的に非常に重要な意味をもち,全ての係数は非負整数だと予想されている.この問題は,表現論的手法の使えるCoxeter群では肯定的に解決されているが,一般のCoxeter群に対しては未解決である.1994年,全ての1次の係数の非負性が証明され,その系として順序関係を用いたある組合せ論的数の評価式が得られた.従って,この問題の解決はCoxeter群の順序集合としての構造を解明する上での有益な評価式を得ることにつながると考えられる.今年度は,この予想問題の解明を主目的として具体的に以下の研究を行った.1.K-L多項式の拡張であるweighted K-L多項式(1982年にLusztigにより導入)とparabolic K-L多項式(1987年にDeodharにより導入)が特別の場合として現れるweighted parabolic K-L多項式なるものを構成した.この多項式はK-L多項式よりも構造が複雑であるが,それ故に情報量が多いと考えられる.従って通常のK-L多項式では見えなかった情報も得られる可能性が高いので,この多項式の研究は非常に意義のあることであり,これまでに考えられてきた3種類のK-L多項式に関する新しい性質の発見にもつながる.2.Brentiが1994年にK-L多項式に対して行った方法を拡張することによりweighted parabolic K-L多項式の組合せ論的記述を行い,その系として,1次の係数の組合せ論的意味づけを得た.3.weighted parabolic K-L多項式の逆行列に値するinverse weighted parabolic K-L多項式を構成し,weighted parabolic K-L多項式との関係を求めた.この結果はDouglassが1990年にparabolic K-L多項式に関して得た結果の拡張となっている.
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