1997 Fiscal Year Annual Research Report
弱-完備多様体の射影空間への大域的埋め込みについての研究
Project/Area Number |
09740060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高山 茂晴 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20284333)
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Keywords | 弱-完備多様体 / 正の直線束 / 大域的埋め込み / 随伴束 / 正則凸性 |
Research Abstract |
(X,Φ)をn次元弱-完備多様体とする.つまりXはn次元複素多様体で滑らかな多重劣調和関数Φ:X→Rを持つとする.さらにX上には正に正則直線束Lが存在するとする.このときXがある複素射影空間P^Nに正則に埋め込めるかどうかを考える.十分大きなmに対してL^<【cross product】m>の切断が埋め込みを与えることが期待されるが,一般にはそれは成立しない.当研究では適当な随伴束の冪が埋め込みを実際に与えることを証明した.要点は次のような一様な評価を与えることにある.X_c:={x∈X;Φ(x)<c}を(X,Φ)の相対コンパクトなsublevel setとする.dをX内のコンパクト部分解析空間の次元の最大値とする.X_cのLに関する漸近的な凸性の理論と射影代数多様体上の随伴束の理論を組み合わせることで,随伴束K_X【cross product】L^<【cross product】m1>,m_1>d(d+1)/2がX_c上大域切断で生成され,さらに(K_X【cross product】L^<【cross product】m1>)^<【cross product】m2>,m_2>nの大域切断がX_cをあるP^Nに埋め込むことが示される.ここで重要なのがm_1,m_2の評価がlevelcに依存しないことである.従ってc→+∞としたときにもその性質は保たれて(K_X【cross product】L^<【cross product】m1>)^<【cross product】m2>がXをあるP^Nに埋め込むことが証明される. 応用として次のような正則関数の存在定理が証明される.Xを弱-完備多様体でその標準束K_Xが負であるものとする.つまり以上の議論においてL=K^<-1>_Xと取れるとする.もしXがスタイン多様体なら,よく知られたようにXには正次元のコンパクト部分解析空間は存在しない.今逆にX内に正次元コンパクト部分解析空間は存在しないとする.この仮定により,上でd=0となり,前述の結果により(K_X【cross product】L)^<【cross product】m2>=O_Xに十分多くの切断,つまり正則関数が存在することが分かり,さらにXがスタイン多様体となることが証明される.
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