1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740082
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤家 雪朗 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00238536)
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Keywords | シュレディンガー方程式 / ファインマン経路積分 / 準古典解析 / 散乱行列 / WKB法 |
Research Abstract |
一次元シュレデインガー方程式に対する散乱行列とファインマンの経路積分の関係を準古典極限において考察した。散乱行列の各成分は、それぞれ粒子が+∞あるいは-∞からとんできて+∞あるいは-∞へと去っていくときの散乱振幅をあらわしている(その絶対値の二乗が確率を表わす)。物理学においては、それが全ての経路にわたる積分、したがって非可算な濃度をもつ空間上の積分(ファインマンの経路積分)を用いて記述されることが知られている。今回の研究では、準古典極限においては、古典軌道とトンネル効果から生成される可算個の軌道(準古典軌道と呼ぶことにする)にわたって、そのそれぞれに適当に定義された確率振幅(エネルギーに関する複素数値関数)を足しあわせることによって与えられることを示した。各準古典軌道は変わり点から変わり点へ至る古典軌道、変わり点での反射、バリアの透過という三種類の運動の組み合わせによって記述される。その各々に対して作用積分やバリア透過関数とよばれるエネルギーの関数を使って定義されるある振幅を対応される。すると各準古典軌道に対してはそれを構成するおのおのの運動の振幅を全て掛け合わせることによって確率振幅を定義することが出来る。散乱行列の各成分(散乱振幅)の準古典極限を計算するには、+∞あるいは-∞から+∞あるいは-∞へいたるすべての準古典軌道を考えて、その確率振幅を足し合わせればよいというのが結果である。すなわち準古典極限においては可算個の経路のみが散乱行列の値に寄与することがわかったのである。このことは経路積分を停留位相近似によって漸近展開することの数学的な困難さを避けて、WKB法によってえられたFujiie-Ramondの散乱行列の準古典近似公式を変形することによって得たものである。
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Research Products
(1 results)