1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740091
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
溝口 紀子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (00251570)
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Keywords | 非線形放物型方程式 / 解の爆発 / 力学系 |
Research Abstract |
非線型放物型方程式の解の爆発問題は多くの研究者によって研究されてきたが、これまでに得られていた結果は、初期値の非負性の仮定の下で正値解のみを扱っていた。本年度に行った研究は初期値が非負であることを仮定しないで、符号変化を伴うような解に対してこれまでの結果を拡張したものである。まず、解の爆発に関する臨界値の研究では解の符号変化が臨界値の値に明確に影響を与えることを証明した。また解の爆発に影響を与えるもう一つの要因として正値解に対しては初期値の無限遠方での減衰の様子があげられるが、本年度の研究で符号変化を伴う解に対しても無限遠方での初期値の減衰があるオーダーより遅ければ解は必ず爆発することを証明した。 正値解の場合と符号変化を伴う解の場合との大きな違いは符号変化する解に対しては比較定理が有効に働かないということである。放物型方程式を扱う上で比較定理は強力な武器であるが、それが機能しないという事実がこれまで符号変化する解に関する研究が進まなかった理由だと思われる。私は(柳田英二氏、二宮広和氏と共に)無限次元力学系の理論を適用することによって符号変化する解に関する結果を得ることができた。 初期値の減衰が遅い場合の解の爆発の結果では比較定理が使えないという困難を克服するために他の目的のために導入されたエネルギーをこの問題に応用することにより、正値解では見えなかった非常に正確な減衰のオーダーを得ることができた。 これらの結果を証明するために新しく用いた手法は比較定理が成立しない問題(例えば、方程式系、双曲型方程式)にも適用出来るという点でも価値があると思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] N.Mizoguchi: "Critical exponents for the blow-up of solutions with sign changes in a semilinear parabolic equation" Math.Ann.307. 663-675 (1997)
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[Publications] N.Mizoguchi: "Diffusion-induced blowup in a nonlinear parabolic system" J.Dynamics and Differential Equations.
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[Publications] N.Mizoguchi: "Critical exponents for the blow-up of solutions with sign changes in a semilinear parabolic equation, II" J.Differential Equations.
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[Publications] N.Mizoguchi: "Critical exponent for the bipolar blowup in a semilinear parabolic equation" J.Math.Anal.Appl.
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[Publications] N.Mizoguchi: "Blowup and life span of solutions for a semilinear parabolic equation" SIAM J.Math.Anal.