1997 Fiscal Year Annual Research Report
値分布論の応用による複素力学系及び複素微分方程式とその関連分野の研究
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09740095
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤解 和也 金沢大学, 工学部, 助教授 (30260558)
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Keywords | 有理型函数 / Nevanlinna理論 / 値分布論 / 一意性問題 / 対数導函数 / 線型常微分方程式 / 複素振動理論 / hypertranscendency |
Research Abstract |
本年度は主に、これまでに得られている手法が本研究で課題とした複素力学系及び複素微分方程式の研究へ如何に応用可能かを調べ、それらの手法が拡張されるべき方向を模索した。正則曲線の値分布に於けるCartanの第二基本定理、角領域に於ける値分布理論、函数方程式の有理型函数解に関する研究を通じて、研究計画のかなりの部分を実現すると共に、今後の研究指針に多くの知見を得ることができた。具体的な成果を以下に記す。 1)有理型函数の一意性問題について。Cartanの第二基本定理から得られたMues-Reindersの手法を応用して、既知の結果について新しい見解を得ると共に、それらの幾つかを拡張した。 2)有理型函数のhypertranscendencyについて。ガンマ函数に関するHolderの定理を拡張したBank-Kaufmanの手法の応用を行った。有理関数a(z),a(0)≠0,∞を係数にもつ函数方程式f(cz)=a(z)f(z),0<|c|<1の有理型函数解について、その有理関数体上での微分代数的な意味での超越性を証明した。 このほか、角領域の値分布論の微分方程式の有理型函数解への適用による評価の精密化、あるいは開円板の外部に於ける評価への拡張等に有力な手法に関して数多くの知見を得ることができた。これらを適用して、本研究目的の遂行への試みを継続している。 今年度中には計画した研究成果を得ることのできなかった複素力学系理論への応用については、超越整・有理型函数の複素力学系に用いられる手法を再検討し計画の再立案を行った。当該分野における専門知識の獲得には、実現しなかった在外研究が不可欠であると実感し次年度以降の研究計画に組み込んだ。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Katsuya Ishizaki: "Research reports of the Nevanlinna theory and its application I" Report of researches of Nippon Institute of Technology. 27,2. 113-155 (1997)
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[Publications] Katsuya Ishizaki: "Hypertranscendency of meromorphic solutions of a functional equation" Report of researches of Nippon Institute of Technology. 27,3. 479-484 (1997)
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[Publications] Katsuya Ishizaki: "On the complex oscillation of some linear differential equations" Journal of Mathematical Analysis and Applications. 206,2. 503-517 (1997)