1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740098
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
清水 扇丈 静岡大学, 工学部, 助教授 (50273165)
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Keywords | 弾性波 / 層状媒質 / 波面集合 |
Research Abstract |
双曲型方程式の1つである波動方程式の持つ特徴の1つとして、空間次元が3次以上の奇数であるとき,その基本解は空隙領域を持つという性質がある.これは物理的には,ホイヘンスの原理と呼ばる.これを拡張し、解の特異台,即ち無限回可微分関数となる点の集合の補集合は,一般化されたホイヘンスの原理として特徴付けられる.この解の特異台の位置とその方向を併せて記述するのが波面集合である. 空間R^1_-において,下半空間R^3_-を第I媒質,上半空間R^3_+を第II媒質とし,それぞれラメ定数,密度定数で与えられる平面x_3=0が界面をなす媒質を考える.この層状媒質における弾性波の伝播は,2階対称双曲型方程式系に対する初期-界面値問題で記述される.特性方程式の根より,第I媒質では,P_1波とS_1波,第II媒質では,P_2波とS_2波が存在し,それぞれP波の方がS波よりも伝播速度の早い波である. 単位衝撃を第I媒質に置いた場合,この混合問題のリーマン関数は,第I媒質では入射波に対応する基本解と反射波に対応する反射リーマン関数で,第II媒質では屈折波に対応する屈折リーマン関数で与えられる.この反射及び屈折リーマン関数の特異台の位置と方向を併せて波面集合として考え,その上からの評価を与えた.この結果,既に得られている下からの評価と一致し,本問題の波面集合の位置と方向が具体的に与えられた. 側面波(全反射波及び全屈折波)に対する波面集合については,各々の媒質で伝播速度が1つずつの場合には第I媒質に1本だけ現れるのに対し,速度の大小関係がS_1<P_1<S_2<P_2の順であるとき,伝播速度が2つずつの弾性波の場合には,第I媒質に9本,第II媒質に2本と多く現れるのが特徴である。また,界面に単位衝撃を置いた場合には,界面波に対する波面集合が現れることも示された.
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