1997 Fiscal Year Annual Research Report
低次元力学系とフラクタル次元のポテンシャル論的研究
Project/Area Number |
09740099
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
玉城 政和 三重大学, 教育学部, 助教授 (00273342)
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Keywords | カオス / フラクタル / ハウスドルフ次元 |
Research Abstract |
1.カオス力学系の研究では,ロジスティック写像は基本的な例のひとつである.本年度はまず,パラメータが4ロジスティック写像について,どのような点が周期点になっているかという問題を考えた.まずはじめにカオス力学系においてはもう一つの重要な力学系の例であるテント写像の周期点について解析した.実は,テント写像はロジスティック写像に位相共役であり,そのためテント写像での軌道の周期性は,ロジスティック写像での軌道の周期性に遺伝する。初期値が無理数であれば,軌道はでたらめなものになる.逆に軌道が,広い意味で周期的になるためには,初期値が有理数でなければならないことはよく知られている.そこで研究では軌道の周期性を,不動である場合,最終的に不動になる場合,周期的である場合,最終的に周期的になる場合の4つの場合に分類し,これらを完全に特徴付けた. 2.カントールの三進集合はlog2/log3という非整数次のハウスドルフ次元を持ち,ハウスドルフ次元は,ボックス次元,パッキング次元に一致することはよく知られている.カントールの三進集合では,各ステップで常に一定の縮小率で構成していくわけであるが,それでは縮小率を各ステップで変えたときにできる″カントール集合″では,次元はどうなるであろうか.第2の研究成果として,ハウスドルフ次元と下ボックス次元の値が一致すること,パッキング次元と下ボックス次元の値が一致することを示した.また一般に,下ボックス次元と上ボックス次元の値は一致しないことが分かった.またこれらの値も実際に計算した.次に,ロジスティック写像から構成したカントール集合へ考察を進めた.この場合の困難さは,カントール集合と違い区間の場所によって縮小率が異なることにある.本研究では,ハウスドルフ次元と下ボックス次元,上ボックス次元とパッキング次元を,カントール集合での議論を参考に解析し,上と下からのベストであると思える評価を与えることができた.
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Research Products
(1 results)