1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊地 克彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50283586)
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Keywords | 可解リー群 / 調和解析 / 球函数 |
Research Abstract |
平成8年度の研究において、非I型可解Lie群と、それに自己同型として作用するコンパクト群の対がGelfand対になるための条件を、可解Lie群の既約表現の十分大きな族を用いて与え、それを学術論文にまとめ、本年度雑誌に投稿した。その過程において、十分大きいということの構造的な意味付けが問題となった。そこで、非I型という性質を考慮して、原始イデアル全体のなす構造空間を用いて特徴づけた。具体的には、構造空間と1対1の対応があるtraceable因子表現全体のなす族を用いた。 上記の内容を整理するために、今まで用いてきた群上の可積分函数全体のなすBanach^*-代数ではなく、そのC^*-完備化であるC^*-群代数を用いた。具体的には、群のtraceable因子表現の固定部分群およびそのintertwining表現を求め、それらの作る半直積群の表現の交換子代数の可換性が判定条件となるが、それらを記述するために、C^*-群代数やvon Neumann代数を用いた。そのC^*-群代数の可換性から得られる正定値球函および球表現を記述する際C^*-代数の理論を適用した。これらのことは、従来用いられていた規約表現を用いた理論を包括するものであり、また非I型可解Lie群だけではなく、一般の非I型群や、群代数が対称ではない群にも適用できる。これは、本研究の重要性を示すものである。 以上のことを非I型可解Lie群の具体例に適用した結果、既約表現の十分大きな族が、traceable因子表現の既約分解に現れることが分かり、確固たる構造的意味付けを与えることができた。同時に、球表現もtraceable因子表現を用いることにより、群自身の言葉で精密に記述することが可能となった。
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Research Products
(1 results)