1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740104
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 充 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60196756)
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Keywords | 超局所解析 / 調和解析 / 振動積分 / シュレディンガー方程式 / 波動方程式 / 平滑化作用 / 固有値問題 / 格子点の問題 |
Research Abstract |
超局所解析を定量的な視点から行う事により、偏微分方程式の様々な問題(特に非線型問題)に新しい見地を与えようというのが、当研究課題の大きな目標であった。本年度は、特に以下の問題に関して本質的進展が見られた。 1.シュレディンガー方程式の初期値問題の解の平滑化作用:非線型問題への足がかりとして、非斉次シュレディンガー方程式および波動方程式の解の平滑化作用を考察した。特にラプラシアンを一般の楕円型作用素に置き換えたとき、その作用素が定義する特性集合と解の平滑化が生じる方向との関係について、ある程度明らかにした。これは、保城氏による、ラプラシアンの場合の特殊関数論を用いた結果の一般化に相当する。その際特殊関数論の代役として、振動積分の漸近挙動と作用素が定義する特性集合の幾何学的形状との関係を用いている。また、非斉次の場合の考察から、フーリエ変換の制限定理を経由する事により斉次の場合の結果を導く事にも成功したが、これは、加藤氏および谷島氏による結果の改良版に相当している。 2.トーラス上の自己共役楕円型作用素に関する固有値の漸近分布:振動積分の漸近挙動と楕円型作用素が定義する特性集合の幾何学的形状との関係の考察を、固有値の漸近分布の誤差評価にも応用した。特に作用素に低階項がない場合は、数論におけるいわゆる「格子点の問題」に対応しており、この方面に関する新しい結果も供給している。これは、円板上の格子点の分布に関するランダウの古典的考察の一般化ともなっている。
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Research Products
(1 results)