1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土田 哲生 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助手 (10274432)
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Keywords | ディラック作用素 / 逆境界値問題 |
Research Abstract |
有界領域上で、ベクトルポテンシャルとスカラーポテンシャルをもつディラック作用素に対し、第1、第2成分の境界値を与え、境界値問題を考える。その解が一意に存在するとき、第1、第2成分の境界値に対し、解の第3、第4成分の境界値を対応させる写像(D-D map)が定義される。(このD-D mapには、ベクトルポテンシャルに対するあるゲージ不変性があることがわかった。) 境界値逆問題として、このD-D mapからポテンシャルを決定可能かが問題となるが、ここでは境界値逆問題の一意性、すなわち、ポテンシャルからD-D mapへの対応の単射性について結果を得た:空間3次元の滑らかな境界をもつ有界領域にかぎり、さらにスカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルのロ-テーションが小さいとき、あるいはスカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルが小さいとき、それらのかなり弱い滑らかさのもとでスカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルのロ-テーションからD-D mapへの対応の単射性が従う。 固定したエネルギーでの、複素な周波をもつ(指数的に増大する)固有値問題の解(複素幾何光学解とよぶ)を構成し、その複素高周波での漸近的な振る舞いからポテンシャルの情報を得た。ディラック作用素の場合、この解は4×4行列値をとり、また、ベクトルポテンシャルを扱うため周波数に依存したゲージ変換を行った。複素幾何光学解は、領域の外でポテンシャルを拡張し全空間での解と思ったとき、一般化固有関数とみることができ、シュレ-ディンガーやディラックの逆散乱理論で現われるFaddeevのグリーン作用素、又は、それを修正したものが、今の場合も有効である。このため逆問題や散乱理論の研究集会での議論が研究の推進上役立った。 予定していた、小さくない一般のポテンシャルの場合について、また、ディラック方程式の逆散乱問題において、固定したエネルギーでの散乱振幅の、ポテンシャルに対する一意性については、引き続き研究中である。
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