1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740121
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
後藤 聡史 上智大学, 理工学部, 助手 (00286759)
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Keywords | Subfactor / Paragroup / 位相的場の理論 / 共形場理論 / Jones index / 作用素環論 |
Research Abstract |
Ocneanuは1995年のFields研究所での連続講演で、グラフ上のessential pathという新しい概念と、3次元多様体の位相不変量などで知られるKauffman-LinsのTemperley-Lieb recoupling theoryとをたくみに結び付けることによって、double triangle algebraという新しい代数的対象を定義し、その理論のsubfactor理論、位相的場の理論、共形場理論などへの多くの応用を示した。彼の示した5つの主な応用の中で、もっとも基本的かつ重要なものは、Dynkin図形A,D,Eの上のconnectionの完全分類である。彼の理論は、Fields Institute Monographとして近々AMSより出版される予定であり、その証明の概略はその中に書かれているが、かれはその詳細を出版しなかった。そこで、私はほんの少し違った設定でDynkin図形上のconnectionの完全分類の証明の詳細を論文に記した。この方法によると、D_<2n>nやE_6,E_8のconnectionのflatnessや、E_7のconnectionのflat partの計算などの簡単な別証明が得られる。 Subfactor理論の中で、Goodman-de la Harpe-Jones subfactorとして昔から知られている有名なsubfactorのシリーズがある。一般にsubfactorをある方法で構成したとき、その完全不変量のデータとしてstandard invariant(paragroup)を計算することは重要な問題であるが、subfactorが広い意味で群から構成れるような場合を除いては、一般にparagroupを計算することは非常に困難である。Goodman-de la Harpe-Jones subfactorの場合も例外ではなく、この場合はprincipal graphは簡単に得られることが知られているが、そのdual principal graphやfusion ruleを計算することは極めて困難であった。しかし、Ocneanuはこの問題に対しても、彼の理論からそのdual principal graphやfusion ruleを計算する一般的な方法を得ることができると主張した。しかし、かれはその詳細を示さなかった。私は、この問題の解答を、Dynkin図形上のconnectionの完全分類の応用として示した。これによって、今まで知られていなかったE_7やE_8に対応するGoodman-de la Harpe-Jonessubfactorのdual princiapl graphが得られたことになる。また、この結果の簡単な応用として、いくつかのparagroupのsubequivalent paragroupの例も得られることがわかる。
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