1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740125
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Research Institution | Fujita Health University College |
Principal Investigator |
星野 弘喜 藤田保健衛生大学短期大学, 衛生技術科, 講師 (80238740)
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Keywords | 反応拡散方程式系(reaction-diffusion system) / strongly coupled system / 斉次ノイマン境界条件 / 非負値解(nonnegative solution) / 大域解(global solution) / 収束の速さ(rate of convergenece) / 漸近解(asymptotic solution) / 漸近近似(asymptotic approximation) |
Research Abstract |
中和反応に関連する反応拡散方程式系の時間大域解について,解とその空間平均との差が減衰していく速さ(指数関数的)を川島秀一教授(九州大学)との共同研究により以前求めたが,当時の証明方法を反省して結果を改良することに成功した.得られた結果を1997年度前半に論文に纏め提出し,受理された(1998年度掲載予定). 続いて以前から携わってきたstrongly coupled systemと呼ばれる反応拡散方程式系で,一方の方程式の主要部(空間変数についての2階偏導関数の項)にも他方が関連するような斉次ノイマン境界条件下の方程式系を扱った.この方程式系のもつ特徴は,初期値が正であっても時間が経てば負の部分が生じ得るという点が挙げられる. strongly coupled systemの非負値時間大域解が存在するための十分条件を放物型方程式に対する比較定理が適用できる範囲で求めた.漸近挙動については定数定常解への一様収束性とその速さを求めた後,対応する常微分方程式系を考え,その解が本来の反応拡散方程式系の漸近解になることを示して誤差評価を行った.さらに解とその空間平均との差の指数関数的減衰性の評価を精密に行った.これらを論文に纏め学術雑誌に投稿した. 比較定理からは導かれない非負値解の構成や,符号不定の解の構成とその挙動などまだ解析できていない点が多くあり,それら未解決部分の解明のため数値計算を行うことを企画した.そのために必要と思われる数式処理ソフト等を設備備品として購入したが,現在数値解析の基礎に取り組んでいる. 今年度は研究内容に関連する文献の収集,他機関の諸研究者との情報交換等を科学研究費補助金により頻繁に行うことができたが,次年度はさらに活発にそれらを続けなければ,研究の十分な進展が望めないと思われる.研究遂行のために,科学研究費補助金が重要な役割を果たしているということを改めて痛感している.
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