1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740130
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
宇野 力 秋田大学, 教育学部, 助教授 (20282155)
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Keywords | 逐次抽出法 / 停止時間 / リグレット |
Research Abstract |
主要研究テーマは逐次推定の漸近理論についてである。逐次点推定問題においては,これまでの研究で,従来の逐次推定方式に比べ逐次方式を偏り補正することによって漸近的にリスクをより小さくできる場合があることがわかっている。この結果に基づいて、今年度は次の二つの問題を考察し、興味ある研究結果を得た。 1.Martinsek(1983)とSriram(1991)は逐次点推定において,損失関数として二乗相対誤差損失を考えている。この場合に対して,偏り補正方式がどのような影響をあたえるのか,特に,母集団の分布を指定しないときにどのような結果をもたらすのかについて研究を行った。その結果,母分散が未知の場合に母平均を推定する問題に対して,2次の漸近不偏逐次推定方式を構成することができた。提案した逐次方式は母集団分布が正規分布の場合を含めていくつかの重要な分布に対して従来の逐次方式に比べ漸近的にリスクを縮小することがわかった。得られた結果は論文としてまとめており,学術雑誌Statistics&Decisions(1998)(磯貝英一氏と共同)に掲載が決定している。 2.Sriram(1990)が研究した母集団の分布が正規分布に従う場合の平均と標準偏差の比を表わす母数の逐次点推定問題に対して偏り補正方式が有効であるかを考察した。結果としては,構成した偏り補正逐次方式はSriram(1990)の逐次方式に比べリスクが小さくなることがわかり,母平均に対してだけでなく,平均と標準偏差の比という特殊な型の母数の推定に対しても偏り補正方式が有効であることが確認できた。この研究成果は日本数学会1997年度秋季総合分科会(於東京大学)において磯貝英一氏と共同で講演発表している。
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