1997 Fiscal Year Annual Research Report
非局所相互作用をもつ変分問題におけるエネルギー極小解の幾何学的微細構造の研究
Project/Area Number |
09740136
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
大西 勇 電気通信大学, 電気通信学部, 文部教官講師 (30262372)
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Keywords | 非局所相互作用 / 変分問題 / 極小点の数理構造 |
Research Abstract |
我々の研究テーマは、ダイブロックコポリマーと呼ばれる材料高分子の相分離現象に関連した変分問題である。相分離現象は一般に、熱力学の第2法則に従う過程としてモデル化されることが多いので、数学的には、変分問題として定式化される。これを解くことは、物性物理的観点からも重要である(等温、等圧条件下で導出されるギブズの自由エネルギーの極小点の数理構造から、材料の物性を予測できるなどの意味)が、そればかりではなく、数学的にも興味ある無限次元の幾何学の問題を提出する。しかし、一般には、このような変分問題の極小点の決定、構造の研究は非常に困難であることが多い。 この現象の特徴としては、まず、 1.最終定常状態が微細構造を持つこと 2.最終定常状態が豊富なこと の2点を挙げることができる。この点に鑑み、ここ数年、われわれは、 1.最終定常状態の微細構造を特徴付けること 2.豊富な最終定常状態の「数理構造」を明らかにすること の2点を中心に研究を進めて来た。 今回の料研費補助金による助成を受けた研究では、空間1次元において、上の1.及び、2.の問題意識に対する決定的な結果を得た。結果は、次のように述べられる: (1)空間1次元問題では,我々の問題の自由エネルギーのglobal minimizersは、界面の薄さε(拡散係数に対応する)の1/3のオーダーの周期をもつ周期関数となっている。さらに、その周期のεによる、漸近展開の第1項を、厳密に決定することができる。(漸近展開から予測される展開の第1項を、数学的にきっちり立証できるという意味) (2)界面の薄さε→0の特異極限で、すべてのモードの定常解が存在し、すべて指数的に安定である。 上の2つの結果から、我々の問題の自由エネルギー汎関数の無限次元空間におけるグラフは、ε-1/3のモードの臨界点(定常状態)を谷底にもつ「多谷構造」(Rugged Landscape)を持つことがわかった。この結果は、空間1次元とはいえ、このようなエネルギー汎関数の「多谷構造」を厳密に示したはじめての例であると考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大西勇,西浦廉政: "Spectral comparison between the second and the fourth order aqustions of conservative type with non-local terms." Japan Journal Industrial and Applied Mathematics,Area(1). 15,(2)(予定). (1998)
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[Publications] 大西勇,西浦廉政: "Analytical Solutions Describing the phase separation drivcu by a free-energy fusctional contaiving a lorg-raye interacction terms" Chaos. (特集号)(予定). (1999)
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[Publications] 大西勇,西浦廉政: "Waveleugth of global winimizer of variational problem with non-local effect," Procceding of Interrational confereuce on "Asymptotics in Nonlivear Deffusive systems". (予定). (1998)