1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740137
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
石上 嘉康 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (50262374)
|
Keywords | グラフ理論 / 組合せ論 / 平面幾何 / 幾何学 |
Research Abstract |
グラフ理論におけるサイクル被覆の予想および直交多角形の長方形被覆に関する予想のふたつを主に研究し、共に肯定的に解決した。 グラフがハミルトングサイクルをもつための条件として、オ-レの次数条件(Ore,1961)がもっとも古典的なもので評価が高い。この後、オ-レ型次数条件をもつグラフの中のサイクルの研究が盛んに進んでいるが、その流れのなかで、H.Wangは雑誌Journal of Graph Theoryにおいて、ある予想を提示した。それは、グラフの頂点数が十分大きい時、どの非隣接2頂点の次数和も\k(\geq 2)\個の独立辺のそれぞれを経由する\k\個のサイクルで、グラフの頂点を分割できるというものである。彼のその論文の中で\k=2\の場合を主定理として証明している。また、\k=3\の場合も証明できたことをアナウンスしている。これらの背景の中で、任意の\k\に対してWang予想が成り立つことを証明した。さらに頂点数の下限も\4k-1\であることを示し、\4k-2\の場合はサイクルをもたない場合もあるが、その場合はある簡単なグラフに限られることを示した。 直交多角形の長方形被覆は、計算機科学における応用上の動機から最近注目され、研究がすすんでいる。従来の研究は、計算量論的研究以外に、直交多角形を制限した場合が研究されてきた。Mamoru Watanabeは国際会議および論文の中で、直交多角形を制限するかわりに長方形を("対角長方形"に)制限することを発想し、被覆に必要な対角長方形の最小個数を問うた。直交多角形は全く任意のものでよく、対角長方形もたいへん自然で従来から頻繁に研究されていたものであり、純粋数学的にも美しく応用上からも重要であると考えられる。O'Rourkeらによる直交多角形の深い研究成果を活用し、このWatanabeの問題に終止符をうつことができた。
|
Research Products
(1 results)