1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740146
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
黒岩 大史 島根大学, 総合理工学部, 助手 (40284020)
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Keywords | 最適化 / 集合値解析 / 凸解析 / 非線形解析 / 下半連続性 / 双対定理 |
Research Abstract |
本研究は、集合値最適化問題、すなわち値が集合で与えられるような目的関数を持つ最適化問題について、集合値解析、凸解析、非線形解析などを用いた新しい概念・理論を構築することにより、解の性質を種々の観点から考察することを目的とするものである。本年度に研究したことを以下に述べる。 まずは、本最適化問題における最適解の評価基準の見直しをおこなった。従来の評価基準は、ベクトル値最適化問題において用いられてきたものを拡張したものであったが、いくつかの具体的な集合値最適化問題を観察することにより、従来の評価基準では多くの有用な重合値最適化問題を評価できないことがわかった。そのため、新しい評価基準を、線形順序空間における集合の比較に基づいたものとして二つ導入した。この評価基準の一つは従来の評価基準の欠点を解消するものであり、もう一つはベクトル値のミニマックス原理を拡張したものになっており、いずれも集合値最適化問題に対して非常に自然で有用な評価基準となっていると考えられる。 この二つの評価基準に基づいた集合値最適化問題を考察するために、その基礎となる集合値関数における種々の概念を定義し、その性質を観察した。集合値関数における従来の概念は、凸性および下半連続性の概念を始めとして、我々の集合値最適化問題においては不適切な概念であった。従って、これらの概念をここで定義した二つの評価基準を元に再定義し、分類した。そしてこれらおよび種々の非線形解析的な定理を用いることにより、いくつかの解の存在性定理および双対定理などを導いた。 また、これらの研究成果を国内外のいくつかの研究会および学会で発表し、多くの研究者からの有用な意見を受けた。現在、今年度におこなってきた結果をまとめている最中である。
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[Publications] Daishi Kuroiwa: "Set-Valued Optimization with the Natural Criteria" RIMS Kokyuroku. (発表予定). (1998)
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[Publications] Daishi Kuroiwa: "On Natural Criteria in Set-Valued Optimization" RIMS Kokyuroku. (発表予定). (1998)
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[Publications] Daishi Kuroiwa, Tamak Tanaka,and T.X.Duc Ha: "On Cone Convexity of Set-Valued Maps" Nonlinear Analysis,Theory,Methods & Applications. 30・3. 1487-1496 (1997)