1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740163
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
井戸川 知之 芝浦工業大学, システム工学部, 講師 (40257225)
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Keywords | 非線形現象 / 数値解析 / 数式処理 / 非線形発展方程式 / 曲線短縮方程式 |
Research Abstract |
本研究では、非線形現象の数理解析に関する電子計算機の多面的な応用を主眼としている。従来の数値解析、数式処理手法の枠にとらわれずに、非線形問題の解析に有用な新たな道具を創ることを最終的な目標としているが、ここでは具体的な問題を扱い、その問題に必要とされる技法の研究を通して方向性を探ることにした。 本年度は、高速なワークステーションの導入を図り研究環境を整えた上で、平成6年秋より研究を進めている曲線短縮方程式と呼ばれる非線形発展方程式を取り上げ、これを拡張した方程式について研究を行ってきた。この方程式は、初期条件によっては適当な時間の後、特異点を生成する性質を持つことが知られている。しかし、特異点の発生時刻の細かい評価、その際の曲率の発散のオーダー等については、未だ十分明らかにされていない。現在は、これら解の振る舞いを調べる上で有効となる数値・数式処理的解析手法の研究・開発を進めているところである。また、本研究開始以前に作成した解析手法を用いて数値実験を多数行うことで、方程式の持つ性質について調べることも並行して行っている。 一方、この問題を離れ、現在自然科学・工学の各分野で扱われている非線形問題に対し、共通して必要とされている解析手法について調べるため、「先端技術における非線形問題の数理及びその応用-若手セミナー」と題した研究会を平成10年2月、早稲田大学理工学総合研究センターと共同して開催した。二日間にわたる研究会を通し、それぞれ異なる分野で同じ解析手法が使われていること、しかし、これらには未だ研究の余地が大きいことが共通認識として得られた。次年度はこの問題・解析手法についても研究を進めて行きたいと考えている。
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