1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740179
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
西川 淳 国立天文台, 光学赤外線天文学・観測システム研究系, 助手 (70280568)
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Keywords | 光赤外干渉計 / 光遅延線 / 加速度 / 等速性 / 反射鏡 / 防振ゴム / ステッピングモーター / ベアリング |
Research Abstract |
次世代の長基線光赤外干渉計においては、長ストロークかつ高速遅延変化に対応できる精密な直動機構(光遅延線)が必要である。さらに、干渉縞のより精密な計測を可能とするためこれまでにない高い性能が求められる。本研究では、そのような光遅延線の開発途上でクリアーしなければならない技術的課題の中核部分である、加速度を抑制し等速性を確保する方法の研究を行った。光遅延線のテスト構造による測定と改良を重ねた結果、800m基線対応の60mm/sの遅延変化までで、5msRMSで約17nm以下、5msP-Pで約50nm以下と、ほぼ目標の走行残差を達成した。採用された形態は以下のとおりである。(1)反射鏡を搭載した客車を電車が押して滑らかなレール上を走るようにした。(2)電車客車間と客車反射鏡間を適切な防振ゴムで接続し、機械振子式での制御の複雑さを回避しながら高周波を落とした。(3)駆動輪は、ギアなしで12mm径の車輪をモーター軸に直接取り付け、光軸の速度変化を最小限に押さえるため電車の中央とし、モーターはステッピングモーターをマイクロステップドライバーで駆動し、ダイナミックレンジと速度安定性を確保した。他に明らかになったことは、駆動部の非等速性が最も大きな誤差要因であること、車輪径・ベアリングの種類・保持方法などの影響は比較的小さいこと、ゴムのパラメーター変更により高周波成分を目標値まで落としたが低周波成分増加による位置誤差は50μm程度しか発生していないこと、既存の測長針では200Hz以上の高周波成分の測定が困難なことなどである。 本研究により、光遅延線の基本構成には見通しがついたので、既に精密高速光遅延線プロトタイプの製作に入り細部に及んだ実用化試験を予定している。測定方法の高精度化、新しく考案した摩擦変動の非常に小さいベアリング保持方法の有効性の評価、高速遅延線との2重制御の試験、などが課題である。
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[Publications] Nishikawa,J.: "MIRA-II,MIRA-III,and MIRA-SG Project: The future plan of long-baeline optical/IR interferometer in Japan" Proceedings of SPIE. 3350. 184-191 (1998)
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[Publications] Honma,Y.: "Development of the Fine Delay Line in Mitaka optical and InfraRed Array(MIRA)Project." Proceedings of SPIE. 3350. 192-210 (1998)
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[Publications] 西川 淳: "天体光赤外干渉計における計測と制御" 計測と制御. 37・12. 835-839 (1998)