1998 Fiscal Year Annual Research Report
波形解析による超高計数率下でのゲルマニウム検出器の使用法の研究
Project/Area Number |
09740190
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 裕和 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10192642)
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Keywords | ゲルマニウム検出器 / ガンマ線分光 / 超高計数率 / 波形解析 / ハイパー核 |
Research Abstract |
昨年度にゲルマニウム検出器にwaveform digitizer,パソコンを接続して波形データを取るシステムを組み、超高計数率下でのpile upの分解に成功したが、波形情報のみでは2つのパルスが短い時間差で重なるときに分解不能になる。そこでTFA/CFD/multi-hit TDCで時間情報を取り、これを解析で利用することでどこまで性能が向上するかを調べた。アンプの整形時間6μsecにおいて、通常の方法では約40μsec以下の間隔の2つの事象はpile upするが、今回開発した方法では3μsecまで接近した事象をエネルギー分解能を殆んど悪化させずに50%以上の確率で分離でき、耐高計数率を約1桁上げられることがわかった。これらの結果をもとに、実用的なシステムを組むための準備を開始した。 この方法は、ハイパー核のガンマ線分光への利用を考えているため、実際の実験環境を詳しく調べる必要がある。別の科研費で建設したゲルマニウム検出器システムを用い、4-7月にKEKで、12月にBNLでハイパー核のガンマ線分光実験を行ない、初めてゲルマニウム検出器によるハイパー核ガンマ遷移の検出に成功した。ここでは波形解析をしない従来の回路系(ただしプリアンプの改良や特殊なshaping amplifierを用いた特に高計数率に強いもの)を用いた。KEKの実験条件(2.5×10^6/secのπ^+ビーム)では計数率が約40kHz、deadtimeが約50%であり、このうちpile upによるdeadtimeは半分に過ぎず、残り半分は、検出器を高エネルギー粒子が突き抜ける際の大きなenergy depositによってプリアンプがresetし、アンプ系のoverloadが起こることが原因であった。波形解析の方法は、pile upのみがdeadtimeをもたらす通常の条件では威力を発揮する。高エネルギービームを使うハイパー核実験等ではアンプのoverload deadtimeを減らす工夫も必要である事がわかった。
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[Publications] H.Tamura: "Hypernuclear γ spectroscopy with a Ge ball" Nuclear Physics. A639. 83-92 (1998)
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[Publications] H.Tamura: "Gamma-ray Spectroscopy of Λ Hypernuclei at KEK,BNL,and JHF" 原子核研究. 43・4. 85-94 (1998)
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[Publications] 田村裕和: "ハイパー核実験での実験技術" KEK Proceedings. 97-26. 406-427 (1998)