1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740206
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
塚本 俊夫 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (40217287)
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Keywords | 暗黒物質 / 無機シンチレータ / 低温特性 / 蛍光ボロメータ / 素粒子物理実験 |
Research Abstract |
宇宙の構成物質の大きな割合を占めるとされる、未知の「暗黒物質」の探索において、その「識別」を可能とする新たな検出器「蛍光ボロメタ」の開発を最終目標とし、無機結晶の低温下での特性調査を本年度行ったが、BGO、BaF_2、CsI(undoped)について、発光量および発光減衰時間の測定研究を行い、以下のことを明らかにした。 1)BGO結晶の発光特性は-100℃において、常温の2倍になること。 2)BaF_2は低温下で減衰時間の急激な増加を観察、通常の方法(shaper、gated ADC)では測定が困難なこと。 3)CsI(undoped)は常温下では光量基準のNaI(T1)の3%の光量が、-170℃において25倍に増加すること。 特に2)の改善を目指し、最近のtechnologyである、digita1 oscilloscopeを用いた測定系を作り上げ、極めて長い減衰時間の発光現象をとらえることに成功した。現在データ解析中であるが ・いくつかの減衰時間成分が存在すること ・主な成分は-30℃付近にて発光量が常温の2倍に達すること ・早い成分が低温下で上昇傾向にあることがわかってきている。 また、本研究で対象にしているような広い温度領域での無機シンチレータ特性を調べた論文例が世界的にも少ないため、本研究はsystematicな結果をまとめあげることで貴重なデータを与えるものであるが、理論モデルに対し、発光量、減衰時間の測定値をあわせることにより、発光を抑える熱的特性を左右するエネルギーギャップのパラメタを決めることに成功しつつあり、今後、より精密な測定を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)