1997 Fiscal Year Annual Research Report
人工ダイヤモンド結晶を用いた次世代放射線検出器の開発
Project/Area Number |
09740222
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Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
阿蘇 司 富山商船高等専門学校, 情報工学科, 助手 (30290737)
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Keywords | 放射線検出器 / ダイヤモンド / 半導体検出器 |
Research Abstract |
現在および将来予定されている高エネルギー物理学実験では,粒子の飛跡検出器としてシリコン結晶を用いたものがほとんどである。本研究では、ダイヤモンド結晶の半導体としての性質に着目し、低ノイズ検出器を開発することを目的としている。 研究において使用するダイヤモンド結晶試料として、化学蒸着法(CVD法)により作成されたものを用意した。大きさは、1cm×1cm×250umで、信号読み出し電極は、両面に0.8cm×0.8cmの面積で、Ti/Pt/Auのメタライズ処理が行われている。 始めに、ダイヤモンド検出器からの信号を計測するための、データ収集システムを構築した。^<90>Srからの最小電離信号を観測するためのシステムとして、フォトダイオード2枚を用いてダイヤモンド結晶をβ線が通過したした事象のみを収集する。検出された信号は、前置増幅器および波形整形増幅器により増幅された後、ADCによりデジタル化され記録される。 荷電粒子の通過によりダイヤモンド結晶から出力される電荷信号は、エネルギーバンドギャップや電荷収集効率を考慮するとシリコン半導体検出器に比べ、約15分の1以下と考えられる。この微弱な信号を観測するためには、低ノイズで高増幅率の前置増幅器が不可欠である。そこで、低ノイズ、高増幅率の前置増幅器の性能評価を行った。評価したのはDIGITEX社製のHIC-1576で、実験室における前置増幅器の増幅率および入力端子解放状態での雑音特性を測定したところ、33mV/fCと229e/σとなった。 今後の研究項目として、この測定システムを用いたダイヤモンド検出器におけるγ線およびβ線の信号を測定する。測定により得た結果から、S/N比の印加電圧依存性および、電荷収集効率についての議論を行う。
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