1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740230
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 章順 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40250667)
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Keywords | 金属ナノ構造 / 角度分解光電子分光 / 量子サイズ効果 / 量子化電子状態 |
Research Abstract |
金属量子ナノ構造において発現する量子化電子状態について角度分解光電子分光測定により詳細に調べるためには、既存の光電子分光装置のエネルギー分解能を向上させる必要がある。そのため今年度申請の高精度の電圧発生器を用いることにより、光電子エネルギー分析器に印可する電圧精度を上げまた電圧安定度を上げることにより現状ののエネルギー分解能を動作分解能で約40meVへ向上させた。また合わせて液体ヘリウムクライオスタットを現有の装置に装着し約40K程度までの低温測定を可能にした。 改良を加えた上記の装置を用いて、Si(111)7×7清浄表面上にCu(111)薄膜を積層させた上にエピタキシャル成長させたAgナノ薄膜について角度分解光電子分光測定を行い、今年度は特にその温度依存性よりAgナノ薄膜における動的特性、とりわけ電子-フォノン相互作用に着目して調べた。これらの角度分解光電子スペクトル上にはsp価電子がナノ薄膜中に量子閉じ込めを受けたことに起因した量子化電子構造による微細構造が観測され、これらの温度上昇に伴うブロードニングを観測した。それらのライン幅の温度に対する変化は線形変化であることを見いだした。一般に量子化電子構造等の2次元的な電子構造からの角度分解光電子シグナルは、光電子放出過程における始状態(フォトホール)の寿命のみを反映していることから、量子化準位に起因する構造の温度依存性はフォトホールの緩和過程に支配的に寄与すると考えられる電子-フォノン相互作用の結果としての温度依存性により理解できることが明らかになった。このことはこれらの結果よりelectron-phonon mass enhancement parameterλについて議論できることを示唆している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A.Tanaka: "Photoemission study of quantum confinement effects on noble-metal nanofilms" Journal of Surface Analysis. 3. 468-472 (1997)
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[Publications] A.Tanaka: "Resonant photoemission study of single crystalline NdB_6 clean surface" Physica B. 240. 123-127 (1997)
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[Publications] A.Tanaka: "Surface electronic structure of the NdB_6 (110) clean surface studied by angle-resolved photoemission spectroscopy" Physical Review B. 56. 7660-7664 (1997)
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[Publications] A.Tanaka: "Angle-resolved photoemission study of the surface electronic structure on NdB_6 (110) clean surface" Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. (印刷中). (1998)
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[Publications] K.Takahashi: "Angle-resolved photoemission study of quantized electronic structures on Ag nanofilms" Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. (印刷中). (1998)