1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740235
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒田 隆 東京工業大学, 理学部, 助手 (00272659)
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Keywords | 低次元半導体 / 高密度励起 / 励起子 / 協力現象 / 空間的ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究では、低次元量子閉じ込め構造をもつ直接遷移型半導体に、高出力パルスレーザーを照射し、高密度に生成される電子励起状態が新たに示すであろう特異な協力現象を、分光学的に検出することを目的としている。この高密度協力現象は、通常の分光装置では見逃されている、空間的なダイナミクとして現れ出ることが予想されている。したがって、協力現象の観測のためには、超高速時間分解能と微小空間分解能を合わせ持つ分光システムを新たに構築することが必須である。そこで本年度はまず、既存のピコ秒時間分解蛍光測定装置(ストリークカメラ)に、顕微分光系を付加することにより、時間分解能が2ピコ秒程度、空間分解能が1.5ミクロンメートル程度の時空間分解分光システムの開発を行った。開発した装置の性能評価のために、典型的なフォトニックバンド構造を示すポリスチレン微小球配列膜を用いて、フォトニックバンド構造中のフォトン伝搬現象を観測することに成功した。さらに、半導体レーザーダイオード試料における、光誘起キャリアの空間伝搬を観測することに成功した。これは、超短パルス光を用いてレーザーダイオード試料をスポット的に励起し、その直後の蛍光の時間発展を空間的に追跡したものである。キャリアの空間拡散過程は、励起密度に依存して変化したことが見いだされたが、これが高密度協力現象を反映したものかを現時点で判定することは難しい。以上の実験は室温中で行ったものであり、今後は試料を極低温に冷却することにより、よりマクロなコヒーレンス形成を促進する条件下での観測を行う予定である。
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[Publications] T.Kuroda et al.: "Observation of homogeneaus broadening in semiconductor nanocrystals by resenant SH scattering" Physical Review B. 55・24. R16041-R16044 (1997)
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[Publications] T.Kuroda et al.: "Accumulated Photon Echo in CuBr Quantun Dots" Physica Status Solidi (a). 164. 287-290 (1997)