1997 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒分光法による金属ナノ結晶の超高速非線形光学応答に関する研究
Project/Area Number |
09740240
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
濱中 泰 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (20280703)
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Keywords | ナノ結晶 / 表面プラズモン / 光学非線形性 |
Research Abstract |
金属ナノ結晶を分散させたガラスは高い光学非線形性と高速応答性を示す。このような特性にはナノ結晶中のホットエレクトロンの緩和過程が深く関係している。本研究の目的はバンド間遷移と表面プラズモン共鳴に基づくホットエレクトロンの生成・緩和過程を解明することである。この両者がエネルギー的に離れている銀ナノ結晶と同一エネルギーに存在する銅ナノ結晶について以下の成果を得た。 1.現有のフェムト秒ポンプ・プローブ分光装置を使用し、銀ナノ結晶分散ガラスの過渡吸収スペクトルを測定した。プラズモン共鳴励起とバンド間励起の2条件で測定を行った。表面プラズモンバンドのスペクトルの過渡的な変化を解析し、ナノ結晶中の電子温度の時間変化を求めた。両励起条件ではホットエレクトロンの生成効率に差が生じ、プラズモン励起の方が励起光子1個当たりの電子温度上昇率が高いという結果を得た。 2.フェムト秒チタンサファイアレーザーを光源とする光パラメトリック増幅器を整備し、これを光源とするポンプ・プローブ分光装置を組み立てた。この装置により励起光のエネルギーを1eVと4eVの間で連続に変えることが可能となった。この測定系を使用して銅ナノ結晶分散ガラスの過渡吸収スペクトルを測定した。励起光のエネルギーは表面プラズモンバンドとバンド間吸収帯を含む広い範囲で変化させた。銀ナノ結晶と同様に表面プラズモンのピーク付近を励起する方がバンド間吸収帯を励起するよりも電子温度の上昇率が高かった。これはプラズモン励起の場合はバンド間励起と異なり自由電子に直接励起光のエネルギーを与えているためであると考えられる。 今後は母体ガラスの屈折率を変えることで表面プラズモンバンドを低エネルギーシフトさせ表面プラズモンバンドとバンド間吸収帯の重なりを小さくした銅ナノ結晶試料を用い、バンド間遷移とプラズモンの光学非線形性への寄与を詳しく調べる計画である。
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Research Products
(1 results)