1997 Fiscal Year Annual Research Report
熱中性子ド-ピングされた同位体Ge半導体中の金属-絶縁体転移とホッピング伝導
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09740248
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊藤 公平 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (30276414)
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Keywords | 半導体 / 金属絶縁体転移 |
Research Abstract |
本研究では同位体組成を制御した^<70>Ge半導体結晶の熱中性子ド-ピングにより、絶縁体相から金属相にまたがるGaアクセプタ濃度を有する一連の試料を用意した。このド-ピング手法を用いると極めて均一なGa分布が得られるため、従来の方法と比べて金属・絶縁体転移の臨界濃度N_cへより近づくことができる。今回作製した10個の試料はすべてN_c±1%以内のGa濃度を有し、最も転移点に近い試料は1.0004N_cとこれまでの実験そして数値計算では考えられないほど臨界点に接近した。これらの試料の電気伝導度を希釈冷凍機中0.02〜1Kの温度範囲で測定し、金属試料と絶縁体試料に分けて、詳細な解析を行った。金属試料では絶対零度における伝導度を外挿法により求め、その臨界指数が約0.5であることを確認した。また、伝導度の臨界現象を解析するにあたり、温度と濃度の両方を同時に含む新しい数式による解析法を提案し、転移のuniversalityに関して議論した。絶縁体試料の伝導度は広域ホッピング伝導の理論と定量的に比較され、転移点から離れたGa濃度<0.99N_cの範囲では従来の理論と良い一致を得たが、N_c-1%以内の転移点近傍では理論の予想とは異なる結果が得られた。現在、その詳細について検討中である。
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