1998 Fiscal Year Annual Research Report
X線回折による変調構造をもつ誘電体の圧力誘起相転移
Project/Area Number |
09740249
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下村 晋 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00260216)
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Keywords | 相転移 / 不整合相 / 誘電体 / X線回折 / 圧力 / サーモクロミズム / [N(CH_3)_4]_2CuCl_4 / [P(CH_3)_4]_2CuCl_4 |
Research Abstract |
本研究の目的は、圧力をかけることにより分子間距離の変化を通して相互作用を直接変え、大気圧のもとでは現れない相転移を誘起し、その性質を単結晶を用いたX線回折法により調べることにある。 1. 圧力および温度を変えると多彩な変調構造の現れる誘電体[N(CH_3)_4]_2CuCl_4について、X線回折実験を行った結果、加圧により正常相・三倍周期整合相のほかに、単斜晶I相・単斜晶II相・斜方晶相へと逐次相転移をおこすことがわかった。単斜晶II相-斜方晶相間の相転移では、結晶色が黄色から緑色へと劇的かつ不連続に変化した。この変化は、一次相転移を伴ってCuCl_4^<2->が四面体型から平面型に変化することによると考えられる。常圧下で類似の相転移を示す[P(CH_3)_4]_2CuCl_4について同様の測定を行った結果、上記物質とは対照的に、圧力による相転移をおこさず、三倍周期整合相が約6GPaまで保持され、結晶の色が黄色から黄緑色へと相転移を伴わず連続的に変化することがわかった。これら両物質間の相違から、陽イオンをより大きなP(CH_3)_4^+に置換する化学的圧力が外部圧力とは異なる効果を相転移に与えることがわかった。 2. 単結晶X線回折用の高圧・低温装置を開発し、上記物質の他、巨大磁気抵抗効果や電荷整列現象を示すペロブスカイト型マンガン酸化物について構造変化を調べた。
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