1997 Fiscal Year Annual Research Report
コインシデンス分光法による表面内殻励起に起因するダイナッミクス研究
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09740253
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
間瀬 一彦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 文部教官助手 (40241244)
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Keywords | 表面 / 分子動力学 / 放射光 / オージェ電子分光 / 電子-イオン・コインシデンス分光 / 内殻電子励起 / 電子遷移誘起脱離 |
Research Abstract |
内殻電子励起に由来する表面ダイナミックスの研究は、未開拓の基礎科学として重要であるばかりでなく、光化学、放射化学、材料工学など、関連分野にも貢献するものと期待されている。本研究では、表面分子に放射光を照射したときに放出される電子とイオンを、電子のエネルギーを選別し、イオンの質量も選別して、同時に検出する手法(電子-イオン・コインシデンス分光法)を用いて、表面上に凝縮した水(H_2O)について研究を行ない、 1.H_2OのO : 1s内殻電子をイオン化すると、O : KVVオージェ過程によって生成する2正孔状態を経由してH^+が脱離する、 2.H_2OのO : 1s内殻電子を非占有軌道に共鳴励起するとスペクテーターオージェ過程によって生じる1電子2正孔状態を経由してH^+が脱離する、 3.脱離確率を左右する因子は、(1)正孔が生じる価電子軌道のO-H結合特性、(2)2正孔間のクーロン反発、(3)イオンの中性化確率、(4)電子が励起された軌道のO-H結合特性、(5)励起された電子の寿命である、などの知見を得た。また、表面上に凝縮したアンモニア(NH_3)やメタノール(CH_3OH)についても研究を行ない、以上の知見が一般性を持つことを確かめた。
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