1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740255
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市村 晃一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50261277)
|
Keywords | スピン密度波 / 電荷密度波 / STM / トンネル分光 |
Research Abstract |
本研究は、走査トンネル顕微鏡(STM)を用い、擬一次元次元導体のスピン密度波(SDW)および電荷密度波(CDW)相での電子状態を明らかにすること目的としている。 1.有機導体(TMTSF)_2PF_6のSDW相におけるSTM分光 擬一次元有機導体(TMTSF)_2PF_6単結晶において低温用STMを用いトンネル分光測定を行った。室温および77Kにおいてはトンネル微分コンダクタンスはほぼ平坦であり金属的性質を示す。一方、SDW転移温度T_<SDW>=12K以下ではSDW転移にともなうギャップ構造が観測された。ギャップ端は5meV付近に位置し、その内側ではコンダクタンスは急激に減少している。このコンダクタンスカーブの形は、等方的なエネルギーギャップの場合(BCS状態密度)とは異なり、ギャップ端内側に有限のコンダクタンスを残している。このことはギャップに異方性があることを示している。そして、この異方性はフェルミ面のネスティングの不完全さつまり2次元性に由来するものと理解される。得られたコンダクタンスカーブは、擬一次元導体に対する平均場理論から計算される状態密度と一致する。フィッティングから、SDWギャップパラメーターΔ_0=2.5meV、2次元性を表すパラメーターε_0=2.1meVと求まった。 2.遷移金属トリカルコゲナイドの単結晶の作成 代表的な遷移金属トリカルコゲナイドであるNbSe_3の単結晶を気相反応法により作成した。今後は、作成された単結晶試料に対してSTM分光測定を行い、CDW相での状態密度を明らかにする予定である。
|
Research Products
(1 results)