1997 Fiscal Year Annual Research Report
二次元量子スピン系銅酸化物の超伝導化とスピンギャップの研究
Project/Area Number |
09740259
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 雅恒 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50211850)
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Keywords | 高温超伝導 / キャリアドープ / 元素置換 / 電気抵抗率 / 直流磁化率 |
Research Abstract |
これまでの高温超伝導体は、すべてCuO_2面を有する。そこで、Cu_3O_4面を有する二次元量子スピン系銅酸化物Ba_2Cu_3O_4Cl_2にキャリアドープを試み、超伝導転移の有無を調べた。 過剰酸素の導入及び元素置換によりキャリアドープを試みた。まず、過剰酸素の導入は、高酸素圧下アニール(800atm、250°C、1週間)および、3種類の酸化剤(KMnO_4、H_20_2、NaClO溶液 60°C 24時間)を用いて行ったが、導入できなかった。次に、元素置換では、Ba^<2+>サイトをNa^+、Bi^<3+>で、または、Cl^-サイトをO^<2->で部分置換を試みたが、全く固溶しなかった。しかし、Cu^<2+>サイトをLI^+、Sc^<3+>、Ga^<3+>およびCo^<3+>で部分置換を試みた結果、Li^+とSc^<3+>は一部置換することがわかった。 そこで、単相が得られたBa_2Cu_<3-X>Li_XO_4Cl_2(0≦x≦0.5)、及びBa_2Cu_<3-X>Sc_XO_4Cl_2(0≦x≦0.2)において、SQUIDを用いて直流磁化率(5K-400K)の、また、直流四端子法により電気抵抗率(4.2K-300K)の温度依存性を測定した。 室温での電気抵抗率は、Li_+置換により10^7Ωcmから10^5Ωcmまで、Sc^<3+>置換では10^6Ωcmまで減少した。しかし、温度依存性は、依然として半導体的振る舞いを示し、超伝導転移は示さなかった。 直流磁化率では、320Kと30Kに2つの反強磁性転移を観測した。これはCu_3O_4面が2つのCuサイトを持つことに対応している。そして、置換とともに転移温度は低下した。また、スピン数を見積った結果、Li^+置換系、Sc^<3+>置換系ともに、CuO_2面において超伝導を示すキャリア濃度まで供給されていることがわかった。供給されたキャリアが局在している原因を現在、検討している。
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