1998 Fiscal Year Annual Research Report
二次元量子スピン系銅酸化物の超伝導化とスピンギャップの研究
Project/Area Number |
09740259
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 雅恒 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50211850)
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Keywords | 高温超伝導 / 元素置換 / 電気抵抗率 / 磁化率 / イオン半径 |
Research Abstract |
高温超伝導体はすべてCuO_2面を有する。そこで、Cu(1)O_2面にCu(2)を付加したCu_3O_4面を有するA_2Cu_3O_4X_2に着目した。AサイトをCa,Sr,Ba、XサイトをF,Cl,Brと変えて試料作製したところ、AサイトとXサイトのイオン半径の和が大きくなるほど、また、高温になるほど、A_2Cu_3O_4X_2は安定化することがわかった。次に、試料(Sr_<1-x>Bax)_2Cu_3O_4(Cl_<1-x>Br_x)_2の物性を調べた。x,yの増加すると、即ち、A,Xサイトの平均イオン半径が増加すると格子定数は増加する。電気抵抗率は、半導体的振る舞いを示し、格子定数が増加すると室温での値も増加する。また、直流磁化率の温度依存性には3つの転移点:T_N(1),T_N(2),T_<2D>(2)が、観測された。ここで、T_N(1),T_N(2),T_<2D>(2)は、各々、Cu(1)、Cu(2)のネール温度、Cu(2)の2次元的反強磁性秩序の発達を示す温度である。A,Xサイトのイオン半径が増加すると、T_N(1),T_<2D>(2)は低下するが、T_N(2)は変化しない。格子定数が増加すると、Cuの3d_<X^2-Y^2>軌道とOの2p軌道及びClの3p(Brの4p)軌道の重なりが小さくなるので、電気抵抗率は増加し、T_N(1),T_<2D>(2)は低下すると思われる。T_N(2)が変化しないのは、Cu(2)には頂点アニオンがなく、また、隣接する上下の面ではCu(2)の位置がずれているので、Cu(2)-Cu(2)相互作用は弱く、この程度のc軸長の変化にはあまり影響は受けないからと思われる。Aサイトの元素置換を試みた結果、(Ba_<1-x>La_X)_2Cu_3O_4Br_2(0≦x≦0.1)の合成に成功した。しかし、電気抵抗率は、ほとんど減少せず、キャリアは局在していると考えられる。
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