1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740265
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平島 大 筑波大学, 物理学系, 助教授 (20208820)
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Keywords | 非ユニタリー超伝導 / Sr_2RuO_4 / スピンゆらぎ / 2次元電子系 / フント結合 |
Research Abstract |
非ユニタリー超伝導状態が実現するためには,まずスピン3重項超伝導状態がスピン1重項超伝導状態よりも安定であることが必要である。そのためには、スピン帯磁率の波数依存性が強磁性的,すなわち,波数q=0で帯磁率が極大になっていることが必要であると考えられる。本研究で主な研究対象としているSr_2RuO_4はきわめて2次元性の強い物質である。2次元的な系においては、電子間相互作用の効果によって帯磁率がどのような波数依存性をもち,それがどの様な準粒子間相互作用をもたらすかは目明ではない。また,Sr_2RuO_4において重要なのは,複数のバンドが存在しバンド間にも交換相互作用(フント結合)が作用することである。そこで今年度は,おもに次の2点に関して研究した。 (1)2次元フェルミ粒子系の帯磁率にたいする相関効果の研究:摂動理論を用いた研究により,2次元フェルミ粒子系では温度T=0において波数q=0の近傍で非解析的な寄与があることが分かった。また,特徴的な波数依存性は,強相関効果を考慮することによってはじめて現れることが分かった。これらの結果は論文"Correlation effects on the spin susceptibility in two dimensional fermion systems."by D.S.Hirashima and H.takahashi,にまとめ,現在投稿中である。(2)フント結合のある縮退したアンダーソンモデルの量子モンテカルロ法による研究:複数バンド間のフント結合の効果を調べるために、最も簡単化したモデルである不純物モデルを調べている。現在検討しているのは,フント結合の効果によって,一つのバンドの電子のスピン偏極を媒介として他のバンドの平行スピン電子間に引力が生じる可能性である。 これ以外に,現象論的に、非ユニタリー超伝導状態の熱力学的性質等を調べてきたが現在のところ,実験的に非ユニタリー状態の決めてとなる実験方法を見つけることができていない。この問題は引続き検討する必要がある。
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