1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740271
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
佐藤 一彦 埼玉大学, 理学部, 助教授 (60225927)
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Keywords | 超伝導絶縁体転移 / コスタリッツ・サウレス転移 / 非晶質超伝導体 |
Research Abstract |
超高真空中で急冷蒸着により作成した非晶質Nb超薄膜の電気抵抗の温度依存性を測定することにより、乱れた超伝導体における量子揺らぎに関する研究を行った。これまでは測定最低温度が2Kまでに限られていたので、超高真空中で急冷蒸着かつその場電気抵抗測定が可能なヘリウム3冷凍機を新たに作成した。この装置により測定最低温度が0.7Kとなった。さらに最低温度を下げるためには、輻射による発熱を抑え、なおかつサファイア基板の冷凍機に対する熱接触方法を改善する必要があると考えられる。 新たな測定結果により、以下のような知見が得られた。1.膜厚を変化させたときに起こる超伝導・絶縁体転移はわずか0.2A^^o程度の変化で起こり、非常に鋭い。2.平均場的な意味での超伝導転移温度(T_<cO>)と完全に電気抵抗が零になるコスタリッツ・サウレス転移温度(T_<KT>)の差は膜厚が減少することにより増大し、以前指摘したようにク-パ-ペアの位相が量子力学的に揺らいでいる状態の存在を示唆する。ただし、その相の存在領域は以前のデータを低温まで外挿することにより推定していたものより狭い。3.T_<KT>の膜厚変化をより低温まで外挿すると、面抵抗値がク-パ-ペアの量子面抵抗値6.45kΩになった近傍でT_<KT>はゼロになる。以上の結果は、日本物理学会1997年秋の分科会で発表した。
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