1998 Fiscal Year Annual Research Report
高温・高圧下で金属化した液体Se-Teのホール係数と交流伝導度
Project/Area Number |
09740274
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
池本 弘之 富山大学, 理学部, 助手 (20262496)
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Keywords | 液体 / カルコゲン / ホール係数 / 金属 / 高温 |
Research Abstract |
液体テルルは半導体に特有な共有結合でつながった鎖状構造を有するが、融点直上で金属的な振る舞いを示す。正符号の熱電能からキャリアーは電子ではなく正孔であると考えられるが、ホール係数の符号は負である。この謎に迫るFriedman.Eminによる理論的考察に従えば、ホール係数の符号は、鎖を構成する原子の幾何学的配置を反映したキャリアーの運動経路に左右される。我々は、液体テルル混合系のホール係数を測定することにより、この系の伝導機構について検討を加えた。 中性子散乱実験や密度測定などから、鎖間相互作用が液体テルル混合系で重要であることが明らかにされている。我々は、鎖間相互作用と伝導機構の関係を調べることを目的として、鎖をブリッジさせるべくAsを添加した液体Te・As系と、鎖を孤立させるべくSeを添加した液体Te・Se系のホール係数測定を行った。As.Seを添加すると、ともにホール係数は大きく増加し、また温度上昇と共に急激に減少して液体Teのホール係数の値に近づいていく。液体Teのホール移動度が温度によらずほぼ一定であるのに対し、混合系では大きく温度変化する。電気伝導度とホール係数の両対数プロットを行うと、液体Te-Se系では組成によらずほぼ同じ直線上にのるのに対し、液体Te・As系では2つの領域に別れる。低伝導度領域では組成ごとに異なるホール係数値を示して変化が小さいのに対し、モットの最小金属伝導度を越えて金属領域に入るとホール係数は急激に減少する。これは、液体Te・Se系が半導体領域でも金属領域でも同じ鎖状構造を基本構造としているのに対し、液体Te・As系では低伝導度領域でネットワーク構造、金属領域で鎖状構造とその構造が変化するためと考えている。大型放射光施設において行ったEXAFS測定から求めた配位数の温度変化にもこの傾向が現れている。
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