1997 Fiscal Year Annual Research Report
音響屈折率の補正の必要ない第4音波法によるヘリウム3の研究
Project/Area Number |
09740292
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松原 明 大阪市立大学, 理学部, 助手 (00229519)
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Keywords | 第4音波 / 音響屈折率 / 超流動ヘリウム4 / 超流動ヘリウム3 |
Research Abstract |
本研究では音響屈折率の補正を用いない第4音波の測定用セルとして、直線的な隙間を持ったセルとして細い金属ワイヤーを詰めたセルを考案し、平面的な隙間を持ったセルとして薄いマイラーのシートを大きさのそろった微粒子をスペーサーにして重ねたものを考案した。 本年度は考案したセルの製作を行い、購入したヒューレット・パッカード社製のシンセサイザー・ファンクションジェネレータを用いて超流動ヘリウム4を用いて第4音波の音速の測定を行った。 細い金属ワイヤーを用いたセルは、線材としてステンレス製のワイヤーを用い、セルの中に大きな隙間を残さないように油圧のプレス機を用いてステンレスワイヤーをセルに詰めた。線材の太さは、いくつか試みた結果、第4音波で要求される線材の細さと取り扱い易さの兼ね合いから、直径8μmのワイヤーを用いてセルを製作した。第4音波の音源と検出には、片面にアルミ蒸着したマイラーシートを固定金属電極と組み合わせたコンデンサー型のトランスデューサーを用いた。超流動ヘリウム4を用いた第4音波の測定では、基本モードから第6高調波までのシグナルを観測できたが、各モードの共鳴周波数から求めた音速は本来一致すべきところが一致せず、高いモードになるにつれて一定の音速に近づく傾向にあった。そのはっきりとした原因はまだ判明していないが、トランスデューサーの膜厚やセルの長さなどのパラメータが影響を与えていると考え、現在この点についてパラメータを変えた測定を行っている。また高いモードの共鳴周波数から求めた音速は、補正なしにほぼ現在知られているヘリウム4の音速と一致しているので、音速のモード依存性の点を除けば、ほぼ音響屈折率の補正なしで第4音波の音速を測定できるセルを製作できたと考えられる。 マイラーシートを用いたセルは、いくつかセルを試作し、ヘリウム4による測定を行ったが、いずれも重ねたマイラーシートの端面の処理に困難があり、金属ワイヤーの場合のようなきれいなシグナルは得られていない。
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