1997 Fiscal Year Annual Research Report
赤外磁気光学効果による強相関伝導系物質の低エネルギー励起の研究
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09740296
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
木村 真一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (10252800)
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Keywords | 強相関伝導系 / 赤外磁気円偏光二色性 / 磁気励起子 |
Research Abstract |
本年度の目標は、先ず、シンクロトロン放射光の赤外域の円偏光成分を使って、赤外磁気円偏光二色性の実験手法を確立することであった。円偏光した放射光は、計算にほぼ一致して取り出すことができ、それまでに完成していた磁気光学装置と組み合わすことで、赤外磁気円偏光二色性の実験が可能になった。このような実験は、世界で初めて行われたものである。 まず、少数キャリア4f電子系のヒ化ガドリニウム(GdAs)の光のエネルギー0.4eVに観測される励気子によるものと思われていた吸収の磁気円偏光二色性を測定した。無偏光の光源を用いた場合、外部磁場を加えることで吸収の線幅が広くなったが、磁気円偏光二色性を測定することで、その吸収の軌道角運動量の違いによる2つの構造に分けることができた。その結果、吸収が励気子によるものであることが明確になり、かつ、磁場に対する応答性から、励気子の空間的な広がりを評価できた。 さらに、異常な伝導や磁性が現れる少数キャリア4f電子系の1つであるヒ化イッテルビウム(Yb_4As_3)では、極低温で重い電子特有の緩和時間の極端に長いドル-デ型の吸収が現れることは知られていたが、それに付随して、約30meVにフェルミ準位上に生じる混成ギャップ間の吸収も観測された。その結果は、近藤格子模型で予測されるスペクトルに極めて近いことがわかった。また、この30meVの吸収の磁気円偏光二色性も測定し、磁気異方性が現れているのが観測された。今後、この結果に対する理論の構築が必要であると思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] F.Arai: "Resonant photoemission study of electronic structure of rare-earth sesquidxides" J.Phys.Soc.Jpn.67. 225-229 (1998)
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[Publications] S.Kimura: "Magnetic field dependence of low energy excitation of GdAs" J.Magn.Magn.Mater.(印刷中). (1998)
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[Publications] S.Kimura: "4d-4f and 3d-4f resonant photo emission of TmX(X=S,Se,Te)" J.Magn.Magn.Mater.(印刷中). (1998)
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[Publications] S.Kimura: "Infrared magnetic circular dichroism experiment using synchrotron radiation" UVSOR Activity Report 1997. (印刷中). (1998)
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[Publications] S.Kimura: "Infrared magnetic circular dichroism of magnetic exciton of GdAs" UVSOR Activity Report 1997. (印刷中). (1998)