1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740324
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村上 洋 理化学研究所, 光生物研究チーム, 基礎科学特別研究員 (50291092)
|
Keywords | 光カーゲート / 誘導ラマンゲート / 和周差発生法 / 時間分解蛍光分光 |
Research Abstract |
(1)モードロックNd:YAGレーザー励起の色素レーザーパルスを再生増幅した出力光(繰り返し10Hz、パルス幅約10ps、パルス当たりのエネルギー1mJ)を用いて、光カーゲート法による時間分解蛍光分光システムを構築した。この時、レーザーパルスによる装置関数の半値全幅は約15psであった。このシステムにより、複雑系である幾つかの有機ポリマー中にドープした色素分子の時間分解蛍光スペクトルの測定を行った。 (2)チタンサファイアレーザーのフェムト秒パルスを用い、和周波発生法による時間分解蛍光分光を色素分子クマリン153を溶かした幾つかの有機ポリマーを対象に行った。高密度励起下で色素分子が破壊されるので、試料をステッピングモーターにより移動して測定したが、試料の不均一性のために、信頼できるデータが得られなかった。これを改善するためには、スピンキャスト法による均一な高分子膜の製作と共に膜の不均一さに起因した蛍光信号を補正するためのリファレンス信号を計測するモジュールを導入する必要がある。 (3)低密度励起、つまり、弱い蛍光強度下での時間分解蛍光分光を実現するために、誘導ラマンゲートを用いた時間分解蛍光分光システムを構築した。誘導ラマンゲートとしては主に硝酸バリウム、光源として再生増幅された、パルス幅約50psのNd:YAGレーザーを用いた。レーザパルスの時間波形の測定からこの装置の時間分解能はほぼ50psであることが分かった。
|