1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740329
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
桂川 眞幸 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (10251711)
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Keywords | 固体水素 / 単結晶 / 位相緩和 / 非線形光学 |
Research Abstract |
量子干渉効果を光学過程に組みこむことによって、様々な光学過程、とりわけ非線形光学過程に従来の限界を超えた新しい可能性を付与することができる。主に気相の原子を用いて原理実証的な研究がこれまでに多くおこなわれた。一方、固体水素は、孤立した分子としてのシャープな共鳴特性と固体の密度を併せ持ち、気相で原理実証された成果を実用レベルに発展させるのに理想的な媒質と思われる。 本研究の目的は、量子干渉効果を用いた非線形光学過程の研究を固体水素に拡張するために、高品質な固体水素単結晶の製作方法を確立することにある。結晶成長は、液相から試みた。液相からの結晶成長は、従来からも三重点付近では可能なことが知られていたが、この時の最大の問題は、結晶を冷却すると収縮による結晶の破壊がおこることにあった。結晶の破壊は、冷却時に結晶がセルの中で負圧の状態に置かれることによる。本研究では、0Kでも結晶が負圧の状態にならないだけの高圧(〜30気圧)を結晶成長の初期条件として与えればこの問題は解決可能であると考えた。 〜15K、〜30気圧の初期条件で、液相より約1時間かけて成長させて得た結晶は、光学的に非常に透明で、その透明度は液体He温度(4.2K)でも変わることがなかった。結晶のサイズは、直径8mm、厚み10mmである。より定量的な結晶の評価は、レーザー光の透過干渉パターン、振動励起状態の位相緩和時間からおこなった。透過干渉パターンは、液相をブランクとして比べるとやや劣化したが、十分干渉縞の存在が確認できる品質であった。コヒーレントアンチストークスラマン分光法で評価した位相緩和時間は、これまでに報告された値よりも2桁長い値(5μs)を示し、この点からも結晶の品質が格段に改善されたことを確認することができた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Hakuta, M.Suzuki, H.katsuragawa, J.Z.Li: "Self Induced Phase Matching in Parametric Anti-Stokes Stimulated Raman Scattering" Physical Review Letters. vol79,No.2. 209-212 (1997)
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[Publications] K.Hakuta, M.Katsuragawa, M.Suzuki: "Dark-state coherence and stimulated Raman Scattering in solid hydrogen" Phil.Trans.R.Soc.Lond.A. 355. 2405-2408 (1997)
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[Publications] M.Katsuragawa, M.Suzuki, J.Q.Liang, J.Z.Li, R.S.O.Sihombing, K.Hakuta: "Stimulated Raman Scattering with Strong-Conpling in Solid Hydrogen" J.Low.Temp.Phys.(1998)
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[Publications] M.Suzuki, M.Katsuragawa, R.S.D.Sihombing, J.Z.Li, K.Hakuta: "Solid Hy drogen for Nonlineer Optics" J.Low.Temp.Phys.(1998)