1997 Fiscal Year Annual Research Report
高分子の球晶成長機構研究の新展開:位相差顕微鏡による薄膜中での球晶成長速度の測定
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09740331
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
丹澤 和寿 名古屋工業大学, 工学部:生産システム工学科, 講師 (60236776)
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Keywords | 高分子 / 球晶 / 成長速度 / 温度依存性 / 膜厚依存性 |
Research Abstract |
これ以前の研究において、我々は高分子の結晶が多核成長様式で成長する場合に、その成長速度は成長面の幅をL、分子の幅をaとした場合にL/4aの範囲でしか変化できない事を示した。そして、ポリパラフェニレンスルフィドの球晶成長速度が、成長面の幅の上限が1μm以下と予測される条件で4桁変化しL/4aと比較して2桁大きくなる事から、現在の高分子結晶の成長モデルが適当なものでない事を示した。しかしながら、この段階では成長面の幅の見積もりは偏光顕微鏡によるリタデーション測定によっていたが、複屈折量が正確ではなかったため、この見積もりも正確ではなかった。 薄膜中で成長した二次元球晶の場合、その成長面の上限はほぼ膜厚と同等であると考えられる事から、膜厚測定により成長面の上限を見積もることが出来る。これを受けて、本年度では膜厚を正確に測定する事を目的とし、この科学研究費補助金により二光束干渉顕微鏡を購入した。これにより膜厚測定を行い、偏光顕微鏡でのリターデーション測定の結果と膜厚との関係を調べ、リタデーションと膜厚がほぼ比例し複屈折の大きさが△n〜0.09であるという結果を得た。そしてその結果を用いると、PPSの成長速度の測定における成長面の幅は0.1〜0.8μmの範囲となり、現在の成長モデルが不適格であるという結論がより確実となった。
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