1997 Fiscal Year Annual Research Report
数値的相対論による非軸対称重力崩壊する天体の最終状態に関する解析
Project/Area Number |
09740336
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柴田 大 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80252576)
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Keywords | 数値的相対論 / 重力崩壊 |
Research Abstract |
重力崩壊する天体の最終状態を明らかにすることは、一般相対論における最も重要な問題の1つである。しかしこれまでの研究は、球対称性、軸対称性を仮定するなどして行なわれており、一般的な場合についての研究は全くなされていない。この現状をふまえ本研究では、対称性を仮定しない一般的な重力崩壊における最終状態の解析を行なうことを目標としている。本年度は特に、解析を行なうためのコンピュータプログラムを開発することを目指し、ほぼ完成した。 プログラムは以下のような主要部分からなる。(1)アインシュタイン方程式を解く部分。より具体的には、アインシュタイン方程式は計量に対する方程式なので、計量を解く部分。(2)物質としては、無衝突粒子の多体系を考えたが、それら粒子に対する相対論的運動方程式を解く部分。(3)重力崩壊した天体は、大雑把にはブラックホールになるか、あるいは何らかの準平衡状態に落ち着く。従って本研究では、ブラックホールになったかどうかを判断する必要があるが、そのためのプログラムも完成させた。 以上のプログラムを用いて、重力崩壊の最終状態に関する解析を現在行なっている。これまでの所得られた結果は、以下のようである。(1)重力崩壊する前に、球対称に近い形状を持つものは、最終的にブラックホールになる。(2)偏平楕円体は崩壊とともに始めはディスクを形成するが、やがてそのディスクも重力崩壊して、球体に近付いていき、最終的にはブラックホールに落ち着く。(3)偏長楕円体の場合は、重力崩壊と共に棒状の物体を形成するが、その棒状の物体が軸対称に近く、かつ短軸が長軸に比べ十分に短ければ、大変曲率の大きな物体となるが、ブラックホールにはならない。以上の結果から、形が球に近い重力崩壊物体はブラックホールに落ち着くが、そうでない場合には、最終状態として様々な可能性があることが分かった。
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[Publications] M.Shibata: "Time symmetric initaial condition of gravitational waves for 3D" Physical Review D. 55. 7529-7537 (1997)
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[Publications] K.Taniguchi, M.Shibata: "Solving the Darwin problem in the first post-Newtonian approximati of general relativity" Physical Review D. 56. 798-810 (1997)
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[Publications] M.Shibata, K.Taniguchi: "Solving the Darwin problem in the first post-Newtonian approximatio of general relativity:compressibe modd" Physical Review D. 56. 811-825 (1997)
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[Publications] M.Shibata, K.Oohara, T.Nakamura: "Numerical Study on the hydrodynamic instability of binary stars in the first post Newtonian approxination" Prog.Theor.Phys.98. 1081-1098 (1997)
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[Publications] M.Shibata: "Effects of quadwpole moment of rapidly rotating neatron stars to motion of accretion dislcs" Prog.Theor.Phys. 99. 69-78 (1998)
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[Publications] T.Nakamura 他: "Pertu bative and numerical approaches to gravitational waves" Prog.Theor.Phys.supple. 128. 1-406 (1998)