1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740338
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
野崎 浩二 山口大学, 理学部, 助手 (80253136)
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Keywords | 長鎖分子 / アルカン / 成長カイネティクス / 相転移 / 核生成 / X線回折 / その場観察 |
Research Abstract |
n-アルカン結晶の固相転移をエネルギー計算、光学顕微鏡その場観察によって調べた。n-アルカン結晶には大きく分けて低温秩序相(LO)と高温相の2つの固相が存在し、後者は回転相(R)と呼ばれ、長鎖分子に特有な相である。回転相はその構造の類似性から生体膜の性質との関連が注目されている。LO,R各々複数の固相の存在が報告されている。 LO内の固相転移は、過去の我々のX線回折による研究において、layerの再配列で特徴つけられることが明らかになっており、本研究ではエネルギー計算でそれを確認した。結果から、分子末端に生じた構造上の欠陥がlayer間の相互作用に影響し、layer stackingの変化が起こることが結論された。 次にLO-R間の固相転移に注目し、昇温過程における核生成と成長のカイネティクスを光学顕微鏡その場観察により確認した。Rの一次核は転移の前駆現象として出現した構造的に乱れた部分で選択的に生成することが確認された。通常固相転移における一次核はdefectや歪みの局在した部分で生成すると考えられており、本研究では実験的にその証拠が示された。またR相の成長が、結晶成長等でしばしば見られる2次元核生成により制御されていることが実験結果より推測でき。本研究では、今まで漠然としていた一次の固相転移の実体が実験的に明らかにされ。
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Research Products
(1 results)