1997 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能NMRを用いたタンパク質室温燐光寿命の定量的解析
Project/Area Number |
09740342
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小寺 義男 北里大学, 理学部, 講師 (60265733)
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Keywords | タンパク質室温燐光 / 高分解能NMR / タンパク質揺らぎ / 分子認識 |
Research Abstract |
当研究では,タンパク質中のトリプトファン(Trp)残基に由来する燐光を測定し,NMRから得られる原子レベルの構造情報を対応させて,燐光寿命からTrp残基周辺の構造および揺らぎを定量的に解釈することを目的としている. 本年度は,燐光寿命の定量解析への第一歩として,(1)立体構造を持つTrpを含むペプチドの構造解析と(2)ランダムコイル状態のペプチドを入手した.また,(3)10残基のペプチドの膜中での立体構造を解析した.以下に詳細を記す. 1.立体構造を持つTrpを含むペプチドの構造解析 アミノ酸29残基のペプチドを化学合成によって調製し,その立体構造をNMRを用いて決定した.このペプチドは,14残基のzinc finger motifを1つ含んでおり,Zn^<2+>イオンの配位によって一定の立体構造を形成し,核酸との結合能を持つ.現在論文作成の最終段階に入っている.今後,ランダムコイル状態とZn^<2+>配位状態で燐光寿命を測定する.この結果を比較して構造と燐光寿命の関係を導く. 2.ランダムコイル状態のペプチドの入手 アミノ酸15〜30残基でTrp残基を1つまたは2つ含むペプチドを8種類入手した.これらのペプチドの中には,アミノ酸を1つだけ別のアミノ酸に置換したペプチドや,溶媒条件によって一定の立体構造を持つペプチドを含む.今後,Trp残基近傍に存在するアミノ酸残基がその燐光寿命に及ぼす影響を解析する.また,立体構造形成にともなう燐光寿命の変化について解析する.
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