1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740347
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
松本 聡 秋田大学, 鉱山学部, 講師 (40221593)
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Keywords | 不均質構造 / アレイ観測 / 散乱 |
Research Abstract |
内陸地震発生の鍵を握る地殻内部応力・強度不均質構造を議論するためには,まず短波長の不均質構造を検出する必要がある.通常観測される地震波の波長と同程度もしくは短い不均質構造は散乱波を発生させる.地震発生域で観測された地震波形を詳しく解析し,散乱波の発生箇所をその到来方向から求め,分布を推定する.今年度,申請者は散乱体の位置を地震波の波長以下の間隔で設置した地震計アレイによって推定することを目的として,その方法を開発・改善した.具体的には,アレイで観測された波形を方位,入射角について重合(slant stacking),エンベロープをとることでアレイの形状,震源の位置に依らない関数として記述でき,これらから多くの震源について重合するとが可能となって更に散乱体位置の推定精度が向上した.この方法を兵庫県南部地震の余震解析に適用した結果,短波長不均質構造は主として淡路島直下に分布することが明らかになり,本震の波動輻射特性や速度トモグラフィによって得られたポアソン比の構造等と関連が認められた.さらに,地震発生を規定する応力・強度不均質を推定するには弾性定数不均質を知る必要があることから,散乱の非等方性を推定する手法について開発を行った.開発された手法によって,slant stackされたアレイ観測波形のエンベロープ時間変化より前方散乱と後方散乱の強度さが推定できることが明らかになった.一方,陸羽地震発生域においては今年度,予備調査および地震計アレイ観測を2箇所で行い,データを取得した.これらを処理・解析を通じてこの地域にはいくつかの反射体が確認された.
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