1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本海の受動的海陸境界の地震学的構造とその形成過程
Project/Area Number |
09740348
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
篠原 雅尚 千葉大学, 理学部, 助教授 (90242172)
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Keywords | 日本海 / 大和堆 / 北大和トラフ / 海底地震計 / 地震波速度構造 |
Research Abstract |
日本海では近年,大和海盆,対馬海盆,日本海盆北東部・中央部で構造探査実験が行われ,各地域の地震波速度構造の差異がより明らかになった.このような日本海の地殻構造の地域性が日本海の形成と密接な関係にあると考えられる.本研究では,当初日本海北部の海陸境界域において,ロシア研究船ガガーリンスキー号を用いて,地震学的実験を行う予定であったが,諸般の事情により,ロシア研究船による実験が実現不可能となった.そのために,東京大学海洋研究所の研究船淡青丸KT97-16次航海において,日本海大和堆北大和トラフにおいて,海底地震計を用いた構造探査実験を行った.北大和トラフは,日本海中央部の大和堆の中に存在する北東-南西方向のトラフであり,厚い大陸地殻から薄い海洋地殻に変化している境界域であると考えられている.この地域の詳細な地殻構造を求め,他地域の構造と比較することにより,日本海における海盆形成時の情報を引き出すことが可能である. 制御構造探査実験は1997年9月に行われ,デジタル収録方式のOBS7台とエアガン20リットル1台を使用した.測線はトラフ底に沿って約160kmで,OBSを20km間隔に設置した.エアガンは全測線上で発震し,その間隔は約100〜110mである.また,同時にシングルチャンネル反射法地震探査も行った.エアガン発震後,OBSは全台回収された.OBSの記録には,震央距離50kmまでの初動が明瞭に記録された.各OBSにおいて,見かけ速度約6.0km/sの初動を震央距離約25kmまで見ることができ,25km以遠では見かけ速度が約6.7km/sに変化する.このことより、北大和トラフ下には,P波速度6km/sの層の存在が示唆される.次年度は,これらのデータから,地震波波線追跡法を用いて,測線下の詳細な2次元P波速度構造を求め,日本海形成についての考察を行う予定である.
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