1998 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙からの火山学:雲仙火山1991-1994年噴火に伴う噴気活動のモニター
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09740351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 隆之 東京大学, 地震研究所, 助手 (90221887)
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Keywords | リモートセンシング / 熱解析 / 雲仙 / 火山 |
Research Abstract |
ランドサットTMの夜間赤外画像を利用して,雲仙溶岩ドーム上に見られた噴気域の1991年9月〜1993年1月の活動状況を調べた.解析に使用したのはバンド5(1.6μm)である.この波長域は, 500℃を越えるような高温域での温度の違いに敏感で,数100℃以下の低温域の影響をほとんど受けないため,高温の噴気活動のモニターには都合がよい.また,TMの空間分解能は30mであるが,雲仙では,上記の期間,噴気活動とローブの成長が数100m離れた場所で起きていたため,噴気域のみの熱輝度を取り出すことが可能となった.8時期の画像を使って,噴気域の活動度の時間変化を調べた.噴気域からの熱輝度の合計値を時系列にプロットすると,単調減少傾向が認められた.観測期間内,ガスの温度は変化していないと考えられるので,噴気域からの熱輝度の低下は,この間ガスの放出率が単調に低下していたことを示すと考えられる.噴気域からの熱輝度とマグマ供給率の間に正の相関関係が見られた.このことは,供給されたマグマの量に応じて,ガスが放出されていたこと,つまり脱ガスが効率的に起きていたことを示す.これは,雲仙では爆発的噴火がほとんど起きなかったことと調和的である.噴気域の面積とその平均熱輝度の間にも,正の相関関係が認められた.これは,噴気域が拡がっているときほど,単位面積あたりの熱輝度が高い一噴気量が多いことを示す.山体内部でのガス圧が高まると,メインの通路から抜けきらない分が,内外の小さな通路から放出されるようになるため,単位面積あたりの放出量も多く,領域も拡がったと推定される.
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[Publications] T.Kaneko and M.J.Wooster: "Landsat infrared analysis of fumarole activity at Unzen volcano: time-series comparison with gas and magma fluxes" Journal of Volcanology and Geothermal Research. (印刷中). (1999)
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[Publications] M.J.Wooster and T.Kaneko: "Satellite thermal analyses of lara dome effusion rates at Unzen Volccono,Japan" Journal of Geophysical Research. 103. 20935-20947 (1998)