1997 Fiscal Year Annual Research Report
阿蘇火山の浅部熱活動に伴う地下水流動と熱放出過程の研究
Project/Area Number |
09740353
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 武志 京都大学, 理学部, 助手 (70283588)
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Keywords | 阿蘇火山 / 熱収支 / 地磁気 / 自然電位 / プリュームライズ / 九重火山 / 画像解析 / 噴気 |
Research Abstract |
本研究に最終目的は阿蘇火山の熱収支を見積もることにあるが,そのために地磁気観測による地下浅部(数百m深)の蓄熱状態のモニタリング,自然電位観測による熱水対流のモニタリング,プリュームライズ法による噴気からの熱エネルギーの放出量の見積もり,の3項目を目指している.平成9年度は,地下浅部における温度状態を把握するため,火口周辺に配置されたプロトン磁力計によって地磁気全磁力の連続観測を実施した.今年度の阿蘇中岳火口は,前面湯留まりの状態が継続したが,地磁気観測の結果からは地下浅部でゆっくりと冷却が進行していることが伺える.これに加えて,地下における熱水対流をとらえるため火口周辺の自然電位観測網の一部を整備した.これまでのところ,熱水対流の消長を示唆するような自然電位変化は観測されていない.本年の阿蘇火山は噴気活動が低調であったためプリュームライズ法を用いた噴気画像の解析は実施しなかった.また,本年度は有毒な火山ガスの濃度が高くなることが多く,死亡事故が発生したこともあって,火口近傍での観測は一時中断せざるを得なかった.そのため,代替地として九重火山を選び,噴気画像の収集をおこなった.また,プリュームライズ法の精度を評価するため,別府地域で小規模な温泉噴気を利用してプリュームライズ法の画像解析とピト-管法による直接測定を同時に実施した.これまでの研究経過は随時関連学会,研究会等で発表した.
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